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2021/08/10(火)
ハマ珈琲へ


今日は夕方に蒲生四丁目にあるハマ珈琲へ。
先日学芸出版社で対談させていただいた、
がもよんにぎわいプロジェクトの和田欣也さんに
ご主人の�霏醋蕕気鵑鬚款匆陲い燭世�ました。
https://hama-coffee.ocnk.net/

濱さんは、もと自衛隊員だったそうです。
限られた休憩時間を楽しみたいと、
豆を挽いてコーヒーを淹れるようになり、
さらに自己流で焙煎までするようになったのだと。
そして27歳の時に自衛隊の職を辞して、
独学で珈琲の焙煎・設計・リノベーションを勉強し、
2010年に自家焙煎珈琲店を始めたのだそうです。

濱さんは、焙煎機も自分で作っておられ、
さらには焙煎機を販売もされています。
右の写真は、�陲気鷦�作のアイスコーヒー製造機です。

�陲気鵑蓮巫麾蠅倭�度が命」といいます。
そして焙煎機での焙煎だけでなく、家庭でもできる
手鍋を使った焙煎の教室もされています。

いろいろお話を伺ううちに、珈琲の焙煎が
とても身近な、自分でもできそうなものに思えてきました。


2021/08/09(月)
“限界集落”ではなく“臨界集落”


昨日は奈良県吉野町・殿川にて山椒収穫。
11名の方にお集まりいただきました。
殿川の標高は約500メートルですが、
日が射すとなかなかの暑さです。そんな中、
みんなでワイワイ話しながら、ひたすら摘みました。

殿川地区は、第二次世界大戦後に、
復興軍人・海外引揚者・戦災者の就業確保を目的に
全国に開かれた戦後開拓地のひとつです。
今も水道がなく、井戸水を使って生活しておられます。

殿川の人口は、最盛期には100人を超えていました。
トマト、すいか、りんご、なし、もも、ぶどうなどの
野菜や果樹を育てて暮らしを立てていました。
ですが次第に、集落には吉野の林業の仕事がもたらされ、
集落の果樹はスギやヒノキに植え換えられました。
やがて高齢化が進み、子供たちは外に出ていき、
現在は常住人口8軒、人口は14人、高齢化率は64%です。

殿川には、20年前に漢方薬の原料として、
山椒の木が植えられました。その数は70本。
収穫された実は薬問屋に出荷されていますが、
集落で生まれ育った竹内由香さんはこの実を
「殿川産完熟山椒」として売り出しています。
https://www.facebook.com/yoshinokoyousouzou/

竹内さんは、実家のそばにジビエの加工場も設け、
鹿肉や猪肉も殿川の特産品にしようとされています。
６月のTalkin'Aboutでお話しいただいた吉村耕治さんは
2014年にここに移住され、こうした地区の動きを後押ししています。
最近では、有名なミュージシャンが集落の廃屋を購入し、
活動を始めておられます。

殿川に実際に足を運ぶまでは、人口が減り、
衰退していく場所というイメージを持っていたのですが、
何らかのきっかけがあれば面白い活動が起こり、
人が集まってくる場所でもあると、今回は感じました。

“限界集落”ではなく“臨界集落”。
実はこういう地域って、多いのかも知れないなと思います。

今回の段取りを組んでいただいた吉村さん、竹内さん、
そしてご参加いただいたみなさま、ありがとうございました！


2021/08/09(月)
水都大阪の取り組みの歴史


京阪水上バスのクルーズ船に乗って、
淀川について学ぶ講座企画「スイスク」。
「水辺のまちづくり」の第１回が無事終わりました。
https://suijo-bus.osaka/cruiselist/detail.php?seq=222

天満橋・八軒家浜を出港したひまわり号は
大川をさかのぼり、毛馬閘門を抜けて淀川をさらに遡上し、
赤川鉄橋を越えたあたりでUターンして戻ります。

その間に、世界の水の都と、大阪がこの２０年の間に
取り組んできた「水辺のまちづくり」を紹介し、
最後にTalkin’Aboutをしました。

水都大阪の実現のために、大阪では、
水辺の遊歩道や船着場を整備したり、
シンボルとしてのアートイベントを行ったり、
水辺でのアクティビティを定着させたりと、
様々な取り組みがなされてきました。

「やりたい人」「やれる人」「やらなければいけない人」が
それぞれのパートを果たして取り組んできたことで、
この２０年で大阪の水辺はずいぶん変わったということを、
紙芝居トークでお話しました。

参加者のみなさんからは、
大阪の昔の水辺の話、故郷にある川での経験、
今回参加しての感想、今後の大阪のまちづくりへの期待など
さまざまなお話を聞かせていただきました。

「水辺のまちづくり」は、9/11(土)、11/21(土)にもやります。
お時間とご興味がありましたら、どうぞ。


2021/08/06(金)
地域に開かれた保育園


昨夜のTalkin'About「保育園からはじまるまちづくり」には、
26名の方にご参加いただきました。

NPO法人シミンズシーズの事務局長として、
コミュニティや組織の支援に関わってきた柏木輝恵さんは
加古川市・寺家町のまちの課題と、
子どもたちが育つ環境の課題を解決するために、
商店街の空き店舗を使って、保育園を作ることにしました。
https://peraichi.com/landing_pages/view/kawanomachihoiku/

建物の１階は保育園に、２階はコミュニティスペース兼
コワーキングスペースにして、地域の方々が気軽に集えるようにしています。

商店街のいいところは、平日の昼間に大人がいること。
いろんな業種の方がおられるので、子供たちは日々、
知らない大人の人たちと接点を持つことになります。

子どもたちは日々、お店にお使いに行きますが、
そこで水槽の中にいる魚と出会ったり、
遊んでもらったり、近所の畑を使わせてもらったりしているそうです。
逆に近所のお兄さんが保育園に歌いに来たりも。

　私たちかわのまちほいくえんは、
　少し前まで日本のどの地域にも普通にあった、
　「心地よくて、おせっかいで、 少しめんどくさいけど、なぜかそこに帰りたくなる」
　まちの風景を今の時代に合ったかたちで取り戻したいと思っています。

柏木さんたちは、まちづくりの手法を使って、
地域の人たちの関わりしろのある、開かれた保育園を作っています。
とても新しい試みですが、お話を伺っていると、
「なぜこれまでなかったんだろう？」と思えるような、
自然の流れに沿った取り組みだと感じました。


2021/08/05(木)
排除しない、持続可能なまちづくりとは？


次々回のTalkin'Aboutでは、釜ヶ崎のまちづくりについて、
2003年からホームレス問題を研究されてきて、
『貧困と地域』（中公新書）を書かれている
白波瀬先生に話題提供いただきます。
https://www.chuko.co.jp/shinsho/portal/102043.html

僕が訳した『分断された都市』（学芸出版社）には、
アメリカの貧困集中地域の現状と、
貧困や不平等を減らしていくために必要な
教育・仕事・自己啓発・生活保障などの包括的プログラムについて
詳しく書かれていますが、釜ヶ崎でも今、
そうした社会的包摂のための取り組みが進められています。

そのあたりを、今回学んでみようと思っています。


うめきたTalkin’About「排除しない、持続可能なまちづくりとは？」

2021年9月7日（火）7pm〜9pm
場所：大阪ガス（株） エネルギー・文化研究所　都市魅力研究室　
話題提供：白波瀬達也氏（関西学院大学人間福祉学部准教授）
参加無料

　大阪市西成区にある釜ヶ崎は、高度経済成長期からバブル期にかけて建設業に従事する単身男性が急増し、「日雇い労働者のまち」として知られていました。バブル崩壊以降はホームレス問題が深刻化したことから、公民連携による対策が本格化し、「福祉のまち」としての性格を強めています。近年は生活保護受給率と高齢化率が高まり、地域の衰退が著しくなっています。

　こうした複合的問題の解決を目指して、2013年から「西成特区構想」が進められ、その中核的事業として、新今宮駅前にある複合施設「あいりん総合センター」の跡地利用が議論されています。ここでは「労働」「住民の福利」「にぎわい」の３つのテーマを融合させた空間が生み出される予定です。

　一方で、釜ヶ崎では2000年代以降、日雇い労働者向けの簡易宿所が外国人や国内旅行者向けに宿泊事業を展開するようになり、2010年代以降はインバウンドの急増に伴いその動きが加速。新たな宿泊施設の建設も進められ、ジェントリフィケーションの懸念も起こってきています。

　今回のTalkin’Aboutでは、長年釜ヶ崎地域を調査・研究されてきた社会学者の白波瀬さんに釜ヶ崎の現状の動きについて話題提供いただき、そこから「社会的・経済的に弱い立場にある人々を排除しないにぎわいはいかにして生み出せるのか？」について話し合います。

※同イベントは、ZOOM併用で開催いたします。参加を希望される方は、info@talkin-about.com までご連絡ください
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

　うめきたTalkin’Aboutは、あるテーマについて興味・関心を持った人たちが集い語り合うサロンです。思いある人たちが自由に集い、情報を交換し、ネットワークを広げ、そこから自然なかたちで新しいアイデアやコラボレーションが生まれていく、そうした場づくりを目指しています。


【会　場】
　大阪ガス（株）エネルギー・文化研究所　都市魅力研究室 グランフロント大阪北館 タワーC 713
　●JR大阪駅、地下鉄・阪急梅田駅より徒歩８分
　＊北館１FよりタワーC入口に入り、奥にあるAエレベーターで７階にお上がりください。

【お問い合わせ】
　大阪ガス（株）NWカンパニー　都市魅力研究室　担当：山納 Tel 06-6205-2366


2021/08/04(水)
日本型ジェントリフィケーションを考える


次回のがくげいラボ×Talkin’Aboutでは、
埼玉大学人文社会学研究科教授の内田奈芳美さんと、
こんなテーマでお話しいたします。

がくげいラボ×Talkin’About vol.4
山納洋×内田奈芳美『日本型ジェントリフィケーションを考える』

　「ジェントリフィケーション（※）」は、アメリカやヨーロッパでは都市問題として非常に注目されています。日本ではあまり注目されてきませんでしたが、開発の結果起こる都市の均質化・没個性化という点からみると、日本もこの問題と無縁ではありません。

　今回はアメリカのジェントリフィケーションに詳しく、シャロン・ズーキンの「都市はなぜ魂を失ったか」の訳者である内田さんとともに、アメリカの状況を参照しながら、日本型のジェントリフィケーションについて考えます。ぜひご参加ください！

（※）ジェントリフィケーション…低所得者層の居住地域が再開発や文化的活動などによって活性化し、結果として地価が高騰すること

【概　要】
　■日時：8/25（水）19：00〜
　■場所：タイルギャラリー京都（学芸出版社３階）（京都駅より徒歩5分）／オンライン（zoom）
　■配信方法：zoomミーティング
※オンライン参加を申し込まれた方には当日までに配信URLをお知らせします。
　■主催：学芸出版社
　■参加費：
・イベント参加（会場）：1,000円　定員：15名
・イベント視聴（zoom）：1,200円　定員：80名
・書籍『分断された都市』（会場 or zoom）（送料込）：2,200円

お申し込みは、こちらから。
https://book.gakugei-pub.co.jp/gakugei-lab/talkin-about-vol-4-210825/


2021/08/03(火)
大阪における水辺のまちづくり


京阪水上バスのクルーズ船に乗って、
淀川について学ぶ講座企画「スイスク」。
僕が担当する「水辺のまちづくり」の第１回が、
8/7(土)に迫ってきました。
https://suijo-bus.osaka/cruiselist/detail.php?seq=222

大阪における水辺のまちづくりの実践については、
21世紀協会時代に、隣に水都大阪の事務局があったので
大体は分かっているのですが、近年の動きを
アップデートできていないなと、先週末に遅ればせながら、
八軒家浜でスタンドアップパドル（SUP）に乗ったり、
タグボート大正に行ってみたりしました。

あらためて調べてみると、水辺には、
散歩したり、川の上に出たり、飲食や語らいを楽しんだり、
イベントに参加したりと、さまざまな楽しみがありますが、個人レベルで気軽にできることと、許認可やインフラの整備を必要とする
大掛かりなこととがある、ということに気づきます。

今回の講座では、これまでの大阪の水辺における
さまざまなチャレンジについて紹介しつつ、
自分たちがしたいこと、できることは何かを話し合う、
という形を取ってみようと思っています。

スイスク〜淀川を学び、淀川アンバサダーになろう！〜

水辺のまちづくり「まちの生活に川が潤いを与える？」

水辺を活用したイベントや、情報発信、占用での楽しみ方などを学びます。

【講師】大阪ガス 都市魅力研究室 室長 山納 洋氏

【受講料】
　（初回）大人　3,600円 / こども（小学生）　1,300円
　（2回目以降）大人　3,300円 / こども（小学生）　1,000円
　※全てお茶付き、消費税込みです。

【のりば】
　八軒家浜船着場（京阪電車・OsakaMetro谷町線 天満橋駅 徒歩すぐ）

※乗船前にチケット券売り場にて、チケットの購入やご予約の受付など乗船手続きをお願いします。八軒家浜地図

申し込みは、こちらのサイトから。

https://suijo-bus.osaka/cruiselist/detail.php?seq=222

＊「水辺のまちづくり」は、8/7(土)のあとは、
　9/11(土)、11/21(土)にやります。


2021/08/02(月)
保育園からはじまるまちづくり


さて、リマインダー告知を。
8/5(木)のうめきたTalkin'Aboutには、
加古川市・寺家町商店街の空き店舗で保育園を始めた、
NPO法人シミンズシーズ事務局長の栢木さんに話題提供いただきます。
https://www.toshimiryoku.jp/1296589_11631.html

うめきたTalkin’About「保育園からはじまるまちづくり」
　2021年8月5日（木）7pm〜9pm
　場所：大阪ガス（株） エネルギー・文化研究所　都市魅力研究室　
　話題提供：柏木輝恵氏（NPO法人シミンズシーズ事務局長）
参加無料

　女性の社会進出とともに、保育所へのニーズが近年高まっていますが、そうした中、保育園を地域に開き、子どもたちと老若男女さまざまな人たちとの出会いをつくる動きが生まれてきています。カフェや惣菜店、コミュニティスペースなどを園内に設けたり、地域の方々との交流をはかるための取り組みを行ったりすることで、保育園をまちづくりの拠点として機能させているのです。

　今回のTalkin’Aboutには、NPO法人シミンズシーズの柏木さんにお越しいただきます。シミンズシーズはこれまで、東播磨地域で市民の方々の主体的な活動をバックアップする活動を行っておられ、加古川市の寺家町（じけまち）商店街の活性化にも関わってこられましたが、この6月に商店街内に「かわのまちほいくえん」を開園されました。子どもたちが外に出ていくこと、地域の人たちに保育園に来ていただくこと、保育園そのものをまちの人と一緒に作っていくことを通じて、商店街の活性化につなげていくことを目指してのことです。
　当日は柏木さんの話題提供をもとに、保育園からはじまるまちづくりの可能性について話し合います。

※同イベントは、ZOOM併用で開催いたします。参加を希望される方は、info@talkin-about.com までご連絡ください

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

　うめきたTalkin’Aboutは、あるテーマについて興味・関心を持った人たちが集い語り合うサロンです。思いある人たちが自由に集い、情報を交換し、ネットワークを広げ、そこから自然なかたちで新しいアイデアやコラボレーションが生まれていく、そうした場づくりを目指しています。

【会　場】
　大阪ガス（株）エネルギー・文化研究所　都市魅力研究室 　グランフロント大阪北館 タワーC 713
　●JR大阪駅、地下鉄・阪急梅田駅より徒歩８分
　＊北館１FよりタワーC入口に入り、奥にあるAエレベーターで７階にお上がりください。

【お問い合わせ】
　大阪ガス（株）NWカンパニー　都市魅力研究室　担当：山納 Tel 06-6205-2366


2021/08/01(日)
託されつつある茶屋


今日の大谷茶屋には、中村圭志さんにお越しいただきました。
登山家で、山岳ガイドで、山の雑誌の編集者で、
ジャズミュージシャンで、甲東園で「D2（ディーディー）」という
ジャズ喫茶を営んでおられる方です。

「六甲山カフェ」と題したTalkin'Aboutを
2004年に開いた時に、どこかの茶屋でイベントが
できないだろうか、という話になったのですが、
その日にお越しいただいた圭志さんが、
大谷茶屋に話を通してくださったことで、
このプロジェクトは動き出しました。

その後は六甲山カフェ同人として、
雑誌に記事を載せていただいたり、
相談に乗っていただいたり、アドバイスを頂いたりと、
プロジェクトを見守って下さっていました。

昨年のコロナ禍以降、3.5坪しかないD2は
営業を休止していました。圭志さんとも連絡が取れて
いなかったのですが、現状をお伝えできて良かったです。

写真は右から、圭志さん、山納、そして現在の
六甲山カフェ代表の糸井健太さんです。

さて、先に、大谷茶屋の母屋の２階建ての建物を
六甲山カフェメンバーで使わせていただけることになった
と書いていましたが、もう少しはっきり書きますと、
僕らは大谷茶屋を託されつつあるのです。

お店の掃除をしていると、山の常連の皆さんから
「また茶屋開けるの？」「楽しみにしてるで！」
といった声をかけていただきます。
茶屋の看板には「菓子・飲料水・休憩所」とあるので、
誰かがここにいてお菓子やジュースやビールを出せば
茶屋を復活させることができるのですが、
その人手がまだ見つかっていない、というのが現状です。

ここにWi-Fiが引ければ、サテライト勤務をしながら
売店を開ける、なんてこともできるのかも知れません。

こんな話に興味ある、という方がおられましたら、
僕の方までご一報ください。


2021/07/31(土)
潰すわけにはいかない茶屋


今日の大谷茶屋の掃除では、
高座の滝から看板がきれいに見えるようにする
という点にこだわり、看板を隠していた枝を剪定し、
屋根に登って看板を磨くと、写真のようになりました。

大谷茶屋は１年半前から閉まっているので、
看板をきれいにすると、お店が再開するという
期待感をもってお店を見ていただけるのではと。
お手伝いいただいたみなさま、ありがとうございました！

この茶屋の１階に小さな焙煎機を置いて、
焙煎同好会を始めたら面白いよね、とか、
２階で滝を見ながらヨガもいいな、とか、
外に石窯を置いたらとか、夢は広がっているのですが、
いかんせん、担い手がまだまだ足りないのです。

ということで、夢を語りながら掃除をするという営みを
しばらく続けていこうと思っています。
明日も昼１時から４時までやっていますので、
お時間とご興味がありましたら、お越しください。

みんなでかき氷を食べながら休憩しているところに、
山崎亮さんにお越しいただきました。
実は山崎さんはここの麓にお住まいなのです。

山崎さんとは、９年前にマガジンハウスのWEBマガジンで
大谷茶屋のことを語っています。場所は中崎町の喫茶「ニューMASA」です。
https://colocal.jp/topics/think-japan/local-design/20121019_12846.html

９年経って、本格的に茶屋を再起動させるタイミングで、
こうしてお話ができるのは、とても有難いことです。


2021/07/30(金)
店主に寄り添う「がもよんモデル」


昨夜はがくげいラボ×Talkin'About。
（一社）がもよんにぎわいプロジェクト代表・
アールプレイ株式会社代表の和田欣也さんにお話を伺いました。
https://book.gakugei-pub.co.jp/gakugei-lab/talkin-about-vol-3-210729/

2006年に、和田さんは地域の地主である�播調�一郎氏から、
米蔵の改修の相談を受けたそうです。�播鳥瓩呂發箸發函�
ここをそば屋にしようと考えていたそうですが、
和田さんはイタリアンにしようと提案し、
みずから店主も見つけてきました。

和田さんはその後、�播鳥瓩�ら空き家の相談を受けると、
近所の人たちに「どんなお店に来てほしい？」と尋ね、
お店をリサーチし、実際に足を運んで食事をし、
オーナーに直談判で出店を呼び掛けてきたそうです。
そうして今では、40店舗ががもよんに来たのだと。

和田さんは、週に１回「店主会議」を開き、
がもよんに出展した飲食店主の間の情報交換を促しています。
そこから地域でのイベントが生まれたり、
本音の意見交換が起こったり、常連客に他店を紹介し合う
気風が生まれたりしているそうです。
テナントを誘致したら終わり、ではなく、
10年間の定借期間を通じて店主をサポートする、
という考え方で伴走しておられるそうです。

その他、「がもよんモデル」について、
さまざまなお話を伺うことができました。
後日学芸出版社の方でレポートページを作成されるようですので、
興味ありましたら、またご覧ください。

左の画像は『描いて場をつくるグラフィック・レコーディング』
という本を、学芸出版社から最近出された有廣悠乃さんに、
セッションの記録を残していただいたものの１枚目です。
こちらも後日レポートで見ていただけそうです。
https://book.gakugei-pub.co.jp/gakugei-book/9784761527761/


次回のがくげいラボ×Talkin'Aboutは、
8/25(水)に「日本型ジェントリフィケーションを考える」
と題し、埼玉大学人文社会学研究科教授の内田奈芳美さんに
お話をうかがいます。詳しくは、追って。
https://book.gakugei-pub.co.jp/gakugei-lab/talkin-about-vol-4-210825/


2021/07/29(木)
「まち歩き演劇」に取り組む人


今年３月に、虚空旅団の作・演出・主宰の
高橋恵さんにお願いし、さかい利晶の杜の協力のもと、
上演したまち歩き演劇「忘れじの朝（あした）」について
７月２７日の北國新聞で取り上げていただきました。

共同通信さんに取材を受けると、
五月雨式に、全国のあちこちで記事が出るのが面白いです。
ちなみに２８日には大阪日日新聞にも出ました。
そのうち京都・神戸あたりにも登場するかもです。

「忘れじの朝（あした）」の次回上演は、
来年３月に、さかい利晶の杜の主催公演として
実施される予定です。１ステージあたり十数人しか
ご覧いただけないので、ぜひお見逃しなきように。


2021/07/29(木)
公務員のパラレルキャリア論


一昨日のTalkin'About「公務員の仕事を楽しむ方法」では、
松竹芸能での漫才師を経て、現在は尼崎市職員として
活躍する江上昇さんにお越しいただきました。

江上さんは、もと吉本興業の漫才師で同じく尼崎市職員の
桂山智哉さんとコンビを組んで「お笑い行政講座」をしたり、
NPO法人で活動したり、町の本屋さんのプロデュースをしたり、
尼崎ENGAWA化計画に関わり、多くの人たちと協働したり
されている方です。

つまりは「公務員の業務外の活動」を
とても充実されている方なのですが、
青少年健全育成事業の一環として、
公共施設の壁を使ってプロジェクトマッピング風に
ゲームイベントをしたり、青少年が木に親しむ
「木育事業」を活用して、本棚の代わりに
スケボーパークを作ったりと、江上さんに相談しない限り
生まれなかったであろう市の事業も手掛けておられます。

また、市役所内で自主研究グループ「夜カツ」を立ち上げ、
江上さんのように外で面白い活動をしたり、
市役所の仕事をクリエイティブに変えていく仲間を
増やしてきておられます。

　公務員がパラレルキャリアを経験することで、
　自分で決め、自分で責任を取る習慣が身につく。
　そして価値観や働き方の本質が変わり、
　結果として組織に貢献する職員になる。

この、公務員のパラレルキャリア論は
多くの人の範となるべきモデルだと思います。

江上さんのお話の最後は、
「いま、都市をつくる仕事」（2011 学芸出版社）の
僕のインタビューで締めくくられました。

　誰もが思っていなかったことをやって、
　自分が勝手に広げた風呂敷の部分が評価され始めると、
　会社の中で自分がやりたいと思っている仕事が
　回ってくる　ようになります。

江上さんも、同じような道をたどっておられたんですね。

左の写真は、尼崎ENGAWA化計画で運営していた
喫茶店スペースに集まった方々の集合写真です。
さまざまな立場の方々が気軽に集える場を作ったことが、
江上さんたちの今につながっているようです。


2021/07/24(土)
今聞いておかないと聞けなくなってしまう話


阪神深江駅から南、国道43号線を渡ったところに、
「EL TRUJILLANITO」というバーがありました。

店主のアリサはフィリピン人で、日本に来て２０年。
オーナーは日系ペルー人３世の男性で、
お店で会ったお客さんの国籍は、
ブラジル、ボリビア、パラグアイ、アルゼンチン。
みなさん日系で、かつて移民として南米に渡った
日本人の２世、３世でした。

最後にここを訪れたのは、昨年の３月。
たまたまオーナーの誕生会をやっていたのですが、
「あなたもファミリーでしょ！」とアリサに招き入れられ、
こんな雰囲気の中で楽しい時間を過ごしました。

「EL TRUJILLANITO」は昨年４月の緊急事態宣言時に閉店し、
その後再開することなく、オーナーが営む中古家電店に変わりました。
アリサからは閉店を知らせるLINEを受け取り、
「またお店を始める時には連絡して！」と伝えましたが、
今のところ、連絡は届いていません。

日本でコロナウイルスが蔓延して、１年半になります。
国からの支援策のおかげもあり、僕が知るお店で
閉めてしまったところは多くはないですが、
それでもこういう悲しい別れはいくつかあります。

昨日、僕は、２度目のコロナワクチン接種を受けました。
６月中旬に、大阪の大規模接種会場が６４歳以下に
受入れを広げた２日後に市で接種券を受け取り予約しました。
（当時はかなり余裕があったのです。
　まだ受けられていないみなさん、ごめんなさい…）

今行っておかないと行けなくなる場所に行き、
今聞いておかないと聞けなくなってしまう話を聞く。
そういう活動を、徐々に再開したいと思っています。


2021/07/22(木)
「まさかや〜」のケン坊さん


おとつい夕方に戸ノ内の「より道」に寄ると、
那覇・平和通りで民謡ライブの店「まさかや〜」を営む
ケン坊さんご一行が来られていました。
https://tabi-labo.com/285304/masakaya-okinawa

台風が沖縄に居座り、飛行機が飛ばないので
連日お店に来られているのだそうです。

ケン坊さんは三線の名手ですが、小指がありません。
かつてはアウトローの道を歩んでいたのだそうです。
とても迫力があり、とても優しい方でした。

手前で一緒に三線を弾いているモロキタさんは、
戸ノ内で生まれた沖縄２世の方です。
久しぶりに「より道」でこういう風景に出会いました。


2021/07/21(水)
映画；フィッシュマンズ


僕が「Bar SINGLES」に初めて足を運んだのは二〇〇〇年の七月。
その年の四月から「扇町Talkin'About」というサロン企画を扇町界隈のバーやカフェではじめており、その会場として使わせてもらえるだろうかと覗いてみたのがきっかけでした。
ＯＭＳから歩いて三分ほどの場所にあったこのお店にいたのは、二代目店主のキムさんという、僕と同い年の女性でした。その時かかっていたのが「フィッシュマンズ」でした。リノポイントで初めて「空中キャンプ」を聴き、「宇宙・日本・世田谷」に完全にヤラれていた僕は、一瞬のうちにキムさんと意気投合していました。

お店では毎月十五日に “Fishman's Affair”という、フィッシュマンズの曲ばかりを大音量でかけるイベントをやっていましたが、そのイベントを八月から毎月Talkin'Aboutの冠をつけて開催することにその場で決まり、その後は月に何度かお店に顔を出す常連になっていました。

「コロキューム」で「ランデブー」という、大阪が舞台で、フィッシュマンズの「ナイトクルージング」をテーマ曲にした映画が公開された時には、監督の山本浩資氏と出演していた維新派の役者の舞台挨拶に合わせて“Fishman's Affair”を開き、全員をシングルズに呼んだこともありました。

キムさんの企画で「扇町キャンプ」という、近くにある扇町公園に、好きな音源一つと食べ物一つを持ち寄って、音楽をかけながらお酒を飲む、というイベントがありました。昼過ぎに集まり、それから夜遅くまで飲んでいて、そこに常連客を中心にいろんな人が出入りするという、ヒッピーの集会のような雰囲気のイベントでした。
十二月二十三日に開催された時に僕も参加しましたが、既にかなり寒い季節。しかもなぜか雷雨に見舞われるというトラブルの中、午後二時から深夜にいたるまでユルユルと何十人かで飲んでいました。

「Bar SINGLES」を通じて、いろんな人たちがつながっていました。
いい音楽を愛する人たちが、そんなにシャキシャキはしないけれどもゆるやかにつながっていくことで、何か世の中を変えていくことができるような、そんな雰囲気がキムさんの作っているお店にはありました。
（山納 洋『common cafe』より）

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

映画「Fishmans」をやっと観れました。
楽曲はどれだけ聴いたかわからない程なのに、
彼らのストーリーを、想いを、全然知らなかったなと。
公開中にもう一度は観に行こうと思います。

「映画：フィッシュマンズ」
https://fishmans-movie.com/

90年代の東京に、ただ純粋に音楽を追い求めた青年たちがいた。彼らの名前は、フィッシュマンズ。プライベートスタジオで制作された世田谷三部作、ライブ盤「98.12.28 男達の別れ」をはじめ、その作品は今も国内外で高く評価されている。

だが、その道のりは平坦ではなかった。セールスの不調。レコード会社移籍。相次ぐメンバー脱退。1999年、ボーカリスト佐藤伸治の突然の死……。

ひとり残された茂木欣一は、バンドを解散せずに佐藤の楽曲を鳴らし続ける道を選ぶ。その想いに仲間たちが共鳴し、活動再開。そして 2019年、佐藤が世を去ってから 20年目の春、フィッシュマンズはある特別な覚悟を持ってステージへと向かう——。過去の映像と現在のライブ映像、佐藤が遺した言葉とメンバー・関係者の証言をつなぎ、デビュー30周年を迎えたフィッシュマンズの軌跡をたどる。


2021/07/20(火)
個人・職場・組織から考えるメンタルヘルス


中高の同級生の山本一道君とは
５年前にフェイスブックでつながり、
逆瀬川でのWalkin'Aboutに参加いただいて以降、
時々話すようになっていたのですが、
このたびTalkin'Aboutでの話題提供を彼にお願いしました。

テーマは「メンタルヘルス」です。

うめきたTalkin’About
「個人・職場・組織から考えるメンタルヘルス」

　2021年8月27日（金）7pm〜9pm
　場所：大阪ガス（株） エネルギー・文化研究所　都市魅力研究室　
　話題提供：山本一道氏（一般社団法人気道疾患研究会代表理事）　参加無料

　近年、過重労働や職場の人間関係によるストレスが原因で精神疾患を発症する人が増え、社会問題のひとつになっています。2015年にはストレスチェック制度が創設され、労働者本人のセルフケア（個人のストレス対策）の重要性が認知されるようになりましたが、それだけではなく、職場のレイアウト、労働時間、作業方法、組織、人間関係などの職場環境の改善に取り組むこと、さらには組織自体の風土を改革し、社員の働きがいや満足度を高めることも重要です。

　山本さんは、以前はヨーロッパで臨床医療と医学研究を中心に活動していた方です。燃え尽き症候群のために休職・退職を余儀なくされた後、ヨーロッパで職場におけるメンタルヘルスの病態分析や介入に関する分野を学び、帰国後産業医資格を取得し、現在は医療や医学研究およびICT開発を主たる活動とする一方で、仕事に関連する燃え尽きやメンタル不調の人に対してミニワークショップや個別コーチングを行っています。

　今回のTalkin’Aboutでは、山本さんに個人的経験や、現在計画中のオンラインストレスチェックシステムを用いた職場改善のための介入プロジェクトについてお話しいただき、そこから職場でのメンタルヘルスの問題について話し合います。

※同イベントは、ZOOM併用で開催いたします。参加を希望される方は、info@talkin-about.com までご連絡ください
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

　うめきたTalkin’Aboutは、あるテーマについて興味・関心を持った人たちが集い語り合うサロンです。思いある人たちが自由に集い、情報を交換し、ネットワークを広げ、そこから自然なかたちで新しいアイデアやコラボレーションが生まれていく、そうした場づくりを目指しています。

【会　場】
　大阪ガス（株）エネルギー・文化研究所　都市魅力研究室
グランフロント大阪北館 タワーC 713
　●JR大阪駅、地下鉄・阪急梅田駅より徒歩８分
　＊北館１FよりタワーC入口に入り、奥にあるAエレベーターで７階にお上がりください。

【お問い合わせ】
　大阪ガス（株）NWカンパニー　都市魅力研究室　担当：山納 Tel 06-6205-2366

写真は、山本君が仕事をしていた
スイス・ベルンの病棟から撮った風景だそうです。
しんどかった時期に、毎日眺めていた風景。
そういえば僕のケンブリッジ時代にも、そんな風景がありました。


2021/07/19(月)
がもよんにぎわいプロジェクト


先週水曜日は、夕方に蒲生四丁目へ。
「がもよんにぎわいプロジェクト」の和田欣也さんに
これまで手掛けて来られた古民家再生のお店を
ご案内いただきました。

界隈の物件の多くは、スギタグループという、
江戸時代からの大地主さんの会社が所有しておられます。
和田さんは�播弔気鵑肇織奪阿鯀箸犒舛如�
これまでに３０店舗以上のテナントを
誘致してこられました。
http://r-play.jp/gamo4project/shop

和田さんの古民家再生の手法は、
学芸出版社の『「がもよんモデル」の秘密』の中で
詳しく紹介されていますが、
https://book.gakugei-pub.co.jp/gakugei-book/9784761527617/

がもよんモデルと、中崎町の古民家再生とは
どう違っているのかを、7/29(木)夜の
がくげいラボ×Talkin'Aboutでは探っていきたいと思います。

がくげいラボ×Talkin’ About 　vol.3
山納洋×和田欣也　『ビジネスとしての古民家再生』
7/29（木）19：00〜　＠タイルギャラリー京都（学芸出版社３階）／オンライン（zoom）
https://book.gakugei-pub.co.jp/gakugei-lab/talkin-about-vol-3-210729/

お時間とご興味がありましたら、ご参加ください。


2021/07/13(火)
奈良県吉野町殿川・山椒収穫ツアー


6/21開催のTalkin'Aboutのスピンアウト企画として、
奈良県吉野町殿川への山椒収穫ツアーを行います。
すでに定員間近なのですが、興味ありましたらご連絡ください。

Talkin’Aboutスピンアウト企画『奈良県吉野町殿川・山椒収穫ツアー』

　2021年8月8日（日）
　ナビゲーター：吉村耕治氏（クラフトワーク）
　集合時間・場所　9:30　@近鉄大阪線・榛原駅南改札口
　※近鉄大阪線・鶴橋駅8:33発 伊勢中川行急行にご乗車ください
　参加料：1000円（ボランティア保険、完熟山椒のお土産、山椒の木の保全費用として）

　殿川地区は奈良県吉野町北部の山間部にあります。戦地から引き揚げた人や都市部の被災者が入植する開拓村として1947年に入植が始まり、最盛期には34軒100人以上が暮らしていました。ブドウやモモ、ナシ、リンゴといった果樹栽培が根付き、地元に伝わる「殿川音頭」には、春にリンゴが花を咲かせる様子が歌われていました。ですが20数年前の台風で果樹栽培は大きな被害を受け、その後後継者難などから果樹はスギやヒノキに植え替えられました。集落では現在、8軒に14名が暮らしています。
　まちづくりコンサルタントの吉村耕治さんは、吉野町の地域おこし協力隊で３年間勤めた後、2014年に同じく吉野町の地域おこし協力隊だった妻の寿代さんと殿川地区に定住。電気工事業を生業としつつ地区の活性化に取り組んでいます。集落では現在、小水力発電やリンゴの植林、山椒の特産品化、ジビエの加工場建設、コワーキングスペースの開設計画などが進められています。

　今回のTalkin’Aboutスピンアウト企画では、吉村さんに殿川地区をご紹介いただき、特産品の山椒の収穫作業をお手伝いします。

【当日スケジュール】
　10:00　殿川多目的集会所前集合（吉野郡吉野町小名1422）
　10:30　収穫作業開始
　12:00　集会所へ移動・昼食
　13:00　神社へお参り
　　　　竹内由香さんによる殿川についてのお話
　　　　女性二人組ロックバンドメンバーとのトーク
　14:00　収穫作業開始
　15:30　終了・振り返り

※帽子、タオル、汚れてもよい服（長袖、長ズボン）・靴、虫除け類、昼食、飲み物をご持参ください。
※感染対策として手指消毒とマスを着用お願いします。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

【主催・お問い合わせ】　大阪ガス��NWカンパニー　都市魅力研究室　担当：山納　
　Tel 06-6205-2366　http://www.toshimiryoku.jp


2021/07/12(月)
Walkin’About @近鉄八尾


８月のWalkin'Aboutでは、八尾を探ります。

自分が行きたい場所を訪ねるまちあるき「Walkin’About @近鉄八尾」

　開催日：2021年8月28日（土）
　集合時間・場所　14:00　＠近鉄八尾駅中央改札前
　再集合時間・場所　16:00　同上　

　八尾の地に人々が住み始めたのは、旧石器時代。旧大和川の水運と陸運の両方を備え、難波津と大和を結ぶ交通の要衝の地であったことで栄え、飛鳥時代には、ここを拠点とした物部守屋と蘇我馬子の合戦が起こっています。
　戦国時代から江戸時代初期にかけて、この一帯は、たびたび合戦が繰り広げられる場所でした。初期に久宝寺や萱振で寺院を中心に寺内町・環濠集落が形成され、時の権力に対抗する勢力の拠点となりました。江戸時代初期には浄土真宗の宗派対立を発端として八尾寺内町が創設され、現在の八尾市発展の基となっています。
　江戸時代中期には大和川の付け替えにより、度々水害に悩まされていた状況が改善され、川床跡の砂地では木綿栽培がおこなわれました。大坂という消費地が近かったことで、商品作物としての木綿の栽培や農村工業としての紡績が盛んになり、全国でも有数の裕福な農村となりました。

　明治以降も綿糸生産で繁栄しましたが、外国産の安い綿花が輸入されるようになったことで、八尾の綿花栽培は大正末期までに急速に衰えていきました。その後は綿を生産していた農家や工場がブラシ生産などの地場産業に活路を見出していきました。戦後には田園は住宅地となり、また金属・機械・電気機械器具を中心とした中小企業の集積も進んでいきました。一方で綿業の副産物として綿種油の生産も盛んであり、現在も長瀬川沿い付近には油脂関連の企業が立地しています。

　今回はこの街を、みなさんの視点で切り取っていただきます。

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　“Walkin’About”は、参加者の方々に思い思いのコースをたどっていただく“まちあるき”です。参加者の方々は、集合場所でエリアについての説明を受けたあと解散。約９０分後に再び集合いただき、それぞれの見聞や体験をシェアします。

【主催・お問い合わせ】大阪ガス（株）NWカンパニー　都市魅力研究室　
担当：山納　 Tel 06-6205-2366　http://www.toshimiryoku.jp


2021/07/11(日)
大谷茶屋でしたいこと、できること


芦屋の城山で、６月に２度、月の輪熊が出たそうです。
大谷茶屋から城山に登る道にも注意喚起がされていました。
ちなみにここは僕のランニングコースで、
標高272ｍの城山を駆け上がるのがいい感じなのですが、
しばらくは様子を見ようと思っています。
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202106/0014447078.shtml

その大谷茶屋は、1934年に開業しています。
阪急芦屋川駅から徒歩25分ほどで、
高座の滝の目の前にあり、その上にある
芦屋ロックガーデンは、日本の近代登山や
ロッククライミングの発祥の地として知られています。

僕らは2004年から、この茶屋を拠点に
六甲山カフェと名付けた活動を続けています。
当初は軒先をお借りして喫茶営業を行い、
2008年春からは、茶屋の洞窟スペースをお借りして、
常設のカフェとして営業するようになり、翌2009年からは
複数の店主が週末ごとに入れ替わる形で継続しています。

最近はお店に入れるメンバーが少なくなり、
代表の糸井さん一家が第一土日曜に開けているだけの
状態だったのですが、大谷茶屋自体も昨年のコロナ禍以降
お店を閉めたままの状態になっていました。

実はこのたび、大谷茶屋の母屋の２階建ての建物も
六甲山カフェメンバーで使わせていただけることになりました。

とりあえず片付けと掃除を始めたのですが、
この場所で何か活動をしたいという方を
同時に募っていきたいと思います。
ちなみに２階にはカラオケサロンスペースが
そのまま残されています。
また、ここでコーヒーの焙煎ができるようにしたい、
という野望を抱いていたりします。

次回は7/31(土)、8/1(日)の午後1時より、
大谷茶屋にて片付け＆ミーティングを行いますので、
興味ありましたら、お越しください。


2021/07/10(土)
神戸医療産業都市の風景


神戸港内に人工島ポートアイランドを造る構想が浮上したのは、1963年のことです。
港内での貨物取扱量が急激に伸びていたこと、
世界的に進んでいたコンテナ化の流れに対応できる
喫水の深い大型の埠頭が必要となったことから計画され
1967年には六甲山地の土砂を運んで埋立が始まりました。

港湾用地は人工島の外周部に整備され、
内陸部は商業・産業・住宅などの用地になりました。
土砂を掘削した跡地も住宅地等として開発され、
この一体開発は「山、海へ行く」として知られました。

港湾整備にかかった費用を賄うために、
神戸市は埋め立て完了後に「ポートピア'81」を開き、
その跡地をファッションタウンとして分譲しました。

1987年には、南側に第２期の埋め立てが始まりました。
その外周部には、より大型のコンテナ船が入れる
港湾設備が整備され、内陸部は新産業の集積地や
貿易拠点として活用される計画となっていました。

1995年に起きた阪神・淡路大震災により、
神戸は大きな被害を受けましたが、その立て直しのため、
神戸市は1998年に「神戸医療産業都市構想」を立ち上げ、
先端医療技術の研究機関・病院・医療関連企業などの集積を図りました。

当時の新聞記事を調べてみると、ポーアイ２期には、
国際マルチメディア文化都市、新たな中国人街の形成、
外資系企業の誘致、リサイクルセンターなど、
他にもいくつかの構想があったようです。

その中で「医療産業都市構想」では、
10年間地代無料の企業誘致ゾーンを設けたり、
分譲から定期借地契約に切り替えて誘致を図ったり、
次世代スーパーコンピューターを誘致したり、
中央市民病院や県立こども病院を移転させたりしながら、
クラスターづくりに取り組んできました。
神戸空港の開港、ポーアイ西地区の大学の集積なともあり、
その後土地の分譲も進み、今年６月末時点で、
376の企業・団体が拠点を構えています。

ポートライナーの医療センター駅周辺を歩いてみると、
病院や研究機関などの新しい建物が建ち並んでいますが、
一般の人が立ち寄れそうな場所は、
駅前のキメックセンタービルの１階にある
コンビニ、カフェレストラン、居酒屋各１軒だけでした。

また、ここには住宅がありません。
遺伝子組み換えや微生物を扱う実験を行う企業も多く、
住宅が建設されれば、住民への配慮から、
研究が制約される恐れがあるため
マンションなど住宅の建設が禁止されているのだそうです。

僕が10ヶ月を過ごしたケンブリッジ市には、
港湾エリアや旧工業エリアを再開発して、
製薬・IT系企業を集積させているケンダルスクエアという場所がありましたが、
その周辺にはコンドミニアムやカフェやレストランが集まっていました。

神戸医療産業都市には高学歴・高収入の人が働いているのでしょうが、
彼らが暮らしたり、アフターファイブを優雅に過ごせる
場所がない、というのが、ちょっと残念。

写真左は医療センター駅周辺の風景。
右はケンダルスクエアの風景です。


2021/07/08(木)
保育園からはじまるまちづくり


さて、次々回のうめきたTalkin'Aboutの告知を。

うめきたTalkin’About「保育園からはじまるまちづくり」
　2021年8月5日（木）7pm〜9pm
　場所：大阪ガス（株） エネルギー・文化研究所　都市魅力研究室　
　話題提供：柏木輝恵氏（NPO法人シミンズシーズ事務局長）
参加無料

　女性の社会進出とともに、保育所へのニーズが近年高まっていますが、そうした中、保育園を地域に開き、子どもたちと老若男女さまざまな人たちとの出会いをつくる動きが生まれてきています。カフェや惣菜店、コミュニティスペースなどを園内に設けたり、地域の方々との交流をはかるための取り組みを行ったりすることで、保育園をまちづくりの拠点として機能させているのです。

　今回のTalkin’Aboutには、NPO法人シミンズシーズの柏木さんにお越しいただきます。シミンズシーズはこれまで、東播磨地域で市民の方々の主体的な活動をバックアップする活動を行っておられ、加古川市の寺家町（じけまち）商店街の活性化にも関わってこられましたが、この6月に商店街内に「かわのまちほいくえん」を開園されました。子どもたちが外に出ていくこと、地域の人たちに保育園に来ていただくこと、保育園そのものをまちの人と一緒に作っていくことを通じて、商店街の活性化につなげていくことを目指してのことです。
　当日は柏木さんの話題提供をもとに、保育園からはじまるまちづくりの可能性について話し合います。

※同イベントは、ZOOM併用で開催いたします。参加を希望される方は、info@talkin-about.com までご連絡ください

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　うめきたTalkin’Aboutは、あるテーマについて興味・関心を持った人たちが集い語り合うサロンです。思いある人たちが自由に集い、情報を交換し、ネットワークを広げ、そこから自然なかたちで新しいアイデアやコラボレーションが生まれていく、そうした場づくりを目指しています。

【会　場】
　大阪ガス（株）エネルギー・文化研究所　都市魅力研究室 　グランフロント大阪北館 タワーC 713
　●JR大阪駅、地下鉄・阪急梅田駅より徒歩８分
　＊北館１FよりタワーC入口に入り、奥にあるAエレベーターで７階にお上がりください。

【お問い合わせ】
　大阪ガス（株）NWカンパニー　都市魅力研究室　担当：山納 Tel 06-6205-2366

写真は５月末に行われた内覧会の様子です。
現在、20数名のお子さんが通っているのだそうです。


2021/07/07(水)
オンライン前提のリアル


昨夜のうめきたTalkin'About「オンライン時代の場づくり」には、
２５名の方にお集まりいただきました。

話題提供いただいた岡田恵実さんは、
中小企業基盤整備機構　創業・ベンチャー支援部参事で、
東京・丸の内に設置された新しい学びと実践の場「TIP*S」
の企画・運営を担当されている方です。

ですが、「TIP*S」での岡田さんの自己紹介は、

「マラソンとねこが好きなだえみさんは、
　東京にあるTIP*Sという、
　新しいことをやりたいと思っている人が集まる
　スナック？でママをやっているらしい」

で通しておられるのだそうです。

それは、新しいビジネスや活動、創業は、
新しくアクションを起こしたいと思っている人たちが、
対話と出会いを通じてきっかけをつかむことから生まれるので、
そのための土壌（環境）をつくることを、
「TIP*S」のミッションとしているからなのだそうです

そうして年間150〜200回の講座・WS・イベントを
開催し続けてきた「TIP*S」ですが、
昨年２月の新型コロナ蔓延以降、三密の場を作ることが
できなくなり、オンラインに活動の場を移しました。

以降、これまでに150回のオンラインWSを開催されました。
そこでも、参加者同士の対話を重視し続けておられます。

その経験から、だえみママは、
オンラインとリアルでの場づくり違いについて、
深く考えるようになりました。

オンラインでは、空間・距離を越え、
誰とでも、どこででも出会えるようになる一方で、
一体感が作りにくいので、工夫が必要になります。
今回、参加者のみなさんからのさまざまな質問から
具体的にどんな工夫をしているのか、その一端が見えてきました。
（ここではあまり書かないことにします…）

オンラインでの場づくりでは、
リアルだと何となく成立してしまう部分に
細かな配慮を行き届かせる必要があります。
コロナによってそれを経験したことで、
私たちの場づくりのリテラシーは進化しています。
コロナが一段落した後のリアルでは、
どんな場づくりが求められるようになっているのだろう。

そんな深い話に触れる機会になりました。
ぜひ、「TIP*S」でのイベントにも参加してみてください。
https://tips.smrj.go.jp/


2021/07/04(日)
神戸ファッションタウンの今


昨日のWalkin'About＠ポートアイランドには、
７名の方にご参加いただきました。

神戸空港に行った方、過去に取材した先を訪ね歩いた方、
神戸大橋を歩いて渡った方、バスでポーアイ入りした方、
神戸船用品センターや物流エリアに行った方、
ポートピアホテルの中でゆっくりした方、
アシックスの博物館を見学した方、ファッションタウンを巡った方、
チャイルドケモハウスと計算科学研究センター（富岳）に行った方など、
みなさん、ポーアイのいろんな側面を見て来られていました。

ポートライナー市民広場駅の北東側には
「神戸ファッションタウン」があります。
博覧会「ポートピア'81」開催後にできたまちです。
ジャヴァグループ、ワールド、アシックス、
シャルレなどのアパレル企業、
TASAKIや大月真珠といった真珠メーカー、
洋菓子会社のユーハイム、UCC上島珈琲などの
オフィスビル・工場・店舗が建ち並んでいます。

神戸では明治の開港以降、居留地の洋風文化との交流により、
洋服・アパレル、靴、ケミカルシューズ、真珠加工、
清酒、コーヒー、洋菓子、洋家具などの地場産業が生まれました。
1973年、神戸市・神戸商工会議所は「ファッション都市宣言」を行い、
ファッションを「衣・食・住・遊」のカテゴリーを
包括するものとして定義しました。
ファッションタウンは、ファッション都市宣言を体現するべく、
企業誘致を行い、1988年には41社が集積しました。

今、ファッションタウンを歩いてみると、
上に挙げた企業が社屋を構えている一方で、
使われていない建物も目立ちます。

1995年の阪神・淡路大震災によって、
ポートアイランドは大きな被害を受けています。
ですが現在の状況は、アパレル業界自体の低迷と関係がありそうです。

1990年代に、SPAと呼ばれる業態がアパレル業界に登場します。
これは商品の企画から製造、物流、プロモーション、
販売までを一貫して行う小売業態で、
ユニクロ、GAP、ZARAなどが有名です。

それまでのアパレル企業は、製造卸という形で、
作った商品を百貨店や洋品店、SCなどに卸していました。
そのため消費者のニーズは卸し先を通じて間接的に掴んでいましたが、
SPAは売り場で把握した消費者のニーズを
すばやく商品に反映できるようになりました。
また粗利益が高くなることから経営の足腰が強く、
現在アパレル業界をけん引している企業の多くはSPAです。

ワールドは1991年にSPAモデルを構築し、
本格的に小売事業を展開しました。
多ブランド戦略を実行し、全国へ店舗出店を加速させ、
2007年には単体で国内アパレルメーカー首位となる
年間3,000億円を超える売上高を達成しています。
ですがその後、ファストファッションの台頭や
新型コロナの影響を大きく受けています。

今年2月に、こんな記事が出ていました。
「ワールド、450店閉鎖へ　客足減止まらず追加リストラ」
朝日新聞デジタル　2021.2.3
https://www.asahi.com/articles/ASP2365SBP23PLFA004.html

ポートアイランドにファッションタウンを作った時には、
30数年後の現状を想定できた人はほとんどいなかったのでしょう。
計画的に産業を集積させる政策は難しいものだなと
歩いてみて再認識しました。

右側の写真は、廃墟になっていたビル。
定礎は1985年でした。奥にはワールドのビルも見えます。


2021/07/03(土)
開発における倫理


大阪・本町にある平岡珈琲店では現在、
アメリカ人で講談師の旭堂南春さんが珈琲を淹れてくれます。
アトランタ出身で、今回の翻訳を読んでくれていた彼女は、

「まだ小さい子どもの頃、私は都心近くの白人地域に住んでいましたが、
　ある時、そこに黒人の家族が住むようになりました。
　そうすると、もともとそこに住んでいた白人たちは
　どんどんそこを逃げ出して郊外に越していき、
　ほんの１年ほどの間に、白人の家族はほとんどいなくなりました。」

という思い出を話してくれました。

＊旭堂南春 official site http://rirara.com/haru/

これは「ブロックバスティング」と呼ばれる商法で、
不動産業者が「地域に黒人がやってくる」と喧伝し、
住民たちがその住宅を売却することを促し、
次にそこを黒人世帯に販売していたのです。
（現在では禁止されています）

つまり、アトランタのジェントリフィケーションには
数十年前にそこを追われた白人世帯が戻ってきて、
そこにある住宅をリノベ―トして暮らす、
という要素もあるのです。

ブロックバスティングやジェントリフィケーションは、
単純な人種の問題ではなく、不動産業や都市開発における
モラルの問題と密接に関わっています。
アメリカほどには人種をめぐる問題が深刻ではない日本では、
こういう問題は起こらない、と思われるかも知れませんが、
「倫理なき開発」はどこででも起こり得るので、
注意が必要だと思っています。

さて、最後に久々に宣伝を。

アメリカ滞在時に翻訳をしていました、
「THE DIVIDED CITY」の日本語版を、
学芸出版社で販売いただいています。
興味ありましたら、ご覧ください。
http://book.gakugei-pub.co.jp/gakugei-book/9784761532666/

『分断された都市　再生するアメリカ都市の光と影』
　アラン・マラック 著　山納洋 訳

取り残された衰退地区再生の方策を提言

　アメリカの都市で起きているジェントリフィケーションが注目されているが、実際に起きているのはほんの一部で、大部分の地域は衰退し苦闘しているのが実態だ。富裕層のための都市再生ではなく、取り残された地域を再生するための方策を豊富なデータに基き提言。分断されるアメリカの今がわかるとともに、日本の都市政策にも示唆を与える一冊。


2021/07/03(土)
ケイトラ・ベイツたちの挑戦（５）


アトランタの女性起業家、ケイトラ・ベイツの記事の最終回です。
コロナが落ち着いていれば、来年ぐらいにアトランタを再訪し、
ピッツバーグヤードがどう仕上がったのか、
彼女の取り組みがどう発展しているのかを
現場で感じられればと思っています。

bon appetit 2021.2.22記事
「ジェントリフィケーションが進むアトランタで、生き残りと繁栄をかけて黒人経営のフードビジネスが連携」ヒラリー・カディガン（その５）
https://www.bonappetit.com/story/keitra-bates-marddys-atlanta


むろん、イエンガーが指摘しているように、どんなに素晴らしい意図を持っていたとしても、あらゆる大規模な開発には難点がある。ピッツバーグの地域オーガナイザーの中にはプロジェクトが長期的な利益をもたらすのか、疑いを持っている者もいる。彼女は言う。「地域の中に価値を創り出すと、つねに不動産価格は上がり、そうなると追い出しの兆候が起こってくる。」そして民間ディベロッパーはピッツバーグヤードから利益を上げることになるので、このプロジェクトはイエンガーが信じるような革新的な方法で伝統的な所有の構造にメスを入れるものにはならないだろう。（イエンガー自身は南アトランタのキャピトル・ビューのグラウンドカバーと呼ばれる近隣で小規模な複合用途開発に取り組んでいる。そこでは共同所有制という独特の方法を用いて、不動産の所有権をディベロッパーではなく完全に地域住民の手に残している）

だがそれでも、ピッツバーグヤードの規模の大きさと野心的な試みから、イエンガーは慎重ながらも楽観的に見ているようだ。彼女は語る。「我々が資本主義システムを完全に捨て去るのは理想的な世界の中の話で、それが可能になるのは未来のまだ先の話だろう。だがこのプロジェクトは、私がこれまでに見てきたどんなプロジェクトよりもはるかに意図と思想を尽くしたものになっている。この取り組みは今後のより良い開発のための下地を作ることになるだろう。」

ピッツバーグヤードが今後何ヶ月、何年、何十年でどう進んでいくのか、そして長期的にどんな変化をもたらしてくれるのか、それは時の流れのみが教えてくれることだろう。だが、植えられた種−大規模開発が良心を持ち、草の根の組織との協働に関心を持ち得るということ−の意義は大きく評価されるべきだろう。ベイツは言う。「ケーシー財団は巨大な組織よ。力と存在感を持つ彼らが、マーディーズのように、追い出しやジェントリフィケーション、私たちの祖先の営みに対する無礼に対して黙ってはいないパートナーと協働する立場にあることは無視できないわ。」

昨春の新型コロナ感染症拡大以降、マーディーズは御多分に漏れず、活動の修正を余儀なくされている。かつてはベンダーにかなりの収入をもたらしていた大規模なケータリングの仕事はなくなってしまった。（ベイツは今、ベンダーたちが小売スペースで安全に距離を取れるよう、もともとのウェストエンドの場所にテイクアウト用の窓を設置しようとしている。）ピッツバーグヤードの拡張の交渉には想像以上に時間がかかっているが、ベイツは新たなスペースは今年の初夏にオープンすると期待している。

だが、困難に続いて、新たなチャンスが現れた。

この夏、マーディーズはトーマスビルハイツの低所得者地域のための都市農業のプロジェクトと提携することになっている。地域の学生が、パイデイアという裕福な私立学校の生徒と一緒になり、黒人所有の都市農園から野菜を収穫し、マーディーズの料理人たちがそれを健康的な弁当に仕上げ、トーマスビルハイツの学生とその家族に提供するというものだ

ベイツは言う。「私たちは地域の黒人農家が育てた約1600ポンドの新鮮な野菜を使って1800食のお弁当を作っているのよ。これはまさに、私たちが一番誇りに思える瞬間だったわ。ベンダーたちはそれを必要としている人たちを助けつつ、お金を稼ぐことができるんだから。」

不平等がその形を変えつつもなくなることのない世界の中で、マーディーズの取り組みを表すのに一番ふさわしい表現はこうだろう。理にかなっている、小さくとも大きく展開する可能性のある団体とともに、win-winの形で構造的な問題に取り組む　自由度を持ちつつも、壊れない結合組織であること。

ベイツは言う。「みんなが本気になれば、過去の官僚主義やお役所仕事をやっつけることはできることは証明済みよ。みんなが本気になれば、何でもできるのよ。」

左の写真は、２年前のピッツバーグヤードの現場。
ケイトラ・ベイツたちは、どこにどんなキッチンスペースを設けるかを話し合っています。

右は起業家のモーニング・ピッチにマーディーズが
ケータリングで参加した時の写真。
社会起業家たちやそれを支える財団の人たちの集まりには
人種の隔てなく、ともに地域を良くしていこうと
お互いに鼓舞し合っている雰囲気がありました。
こういう場で、彼女は人脈を広げ、信頼を勝ち得ていたのでした（おわり）。


2021/06/30(木)
ケイトラ・ベイツたちの挑戦（４）


アトランタの記事の翻訳はあと２回。
僕が２年前に行った時に話を聞き、現場を見せていただき、
オープンを心待ちにしていたものの、
コロナ禍のために遅れていたピッツバーグヤードの開発と
マーディーズとの関わりの話が書かれています。
ちなみにアニー・E・ケーシー財団とは、
国際宅配便のUPSの創始者が設立した財団です。

bon appetit 2021.2.22記事
「ジェントリフィケーションが進むアトランタで、生き残りと繁栄をかけて黒人経営のフードビジネスが連携」ヒラリー・カディガン（その４）
https://www.bonappetit.com/story/keitra-bates-marddys-atlanta

　だが、“進歩”という概念は追い出しと文化の抹消を否応なく伴うものなのだろうか？あるいは良いジェントリフィケーション−長く地域に暮らす住民を強引に追いやるのではなく、彼らにもプラスをもたらす−はあり得るのだろうか？マーディーズからわずか数分のところにあるサウスアトランタの近隣では、ピッツバーグヤードと呼ばれる新たな大規模開発が、後者の質問に対して肯定的な答えを出そうとしている。

　このプロジェクトは、アニー・E・ケーシー財団と、アフォーダブル住宅業界のリーダー・コロンビア・ベンチャーズなどの地域の不動産事業者による連携事業だ（Lee+Whiteを最初に開発したストリーム不動産もこのプロジェクトに出資していることは指摘しておくべきだろう。）間もなくベルトラインのサウスサイドトレイルとなる場所のそばに位置し、産業時代の巨大な窓を残した洒落た白亜の邸宅群、輸送用コンテナ市場、真ん中には草深い芝生を配した31エーカーの複合施設は、一見するとアトランタの他の開発とほとんど同じに見える。だが、Lee+Whiteやポンス・シティマーケットや市内の他の大規模小売店舗とは異なり、この場所には地域の人々向けの低価格の（月350ドル〜）共同作業所や、地域の平均収入の6割に設定されたアパートが含まれる予定である。

　同財団の経済機会上席研究員であり、ピッツバーグヤードのキープレーヤーであるエリカ・スミスは、「我々が今そこにいる住民や今そこにある事業を評価し、敬意を表していることを明確にする必要がある、そして地域を再生させたり、再定義したりするのではなく、生き返らせるための場所が欲しいと考えたのです。」

　公平な経済開発の力強い取り組みについての概要を自らの言葉で語りつつ、スミスはフードホールや醸造所のような大規模開発を頻繁に飾っている遠回しなバズワードについてはっきりと理解している。「我々は黒人や有色人種の地域が、地価や建物が安く入手できることからターゲットにされるのを頻繁に目の当たりにしますが、彼らは現存するコミュニティを資産とは見ていないのです。彼らは基本的に新住民を惹きつけるテナントを集め、結果として不動産価値の上昇や新たな人種構成への変化とつながっていくでしょう。」

　ピッツバーグヤードでは、徹底的に地元を志向し、コミュニティへの関与を信条の核とすることで、真逆の方向を目指しています、そうスミスは語る。開発チームは住民たちの主体性と当事者意識を育むことを目指し、アート・歴史・起業家精神に焦点を当てた委員会と共に、地域の事業者と住民向けの月例ミーティングを開催している。

　そう考えると、ベイツがマーディーズのベンダーのために、2000平方フィートの商業キッチン・カフェ・マーケットプレイスを備えた中核テナントとして交渉しているのは偶然ではない。スミスは語る。「私たちがマーディーズに関心を持っているのは、それが地域に根差した、黒人所有の事業だから、そして飲食起業家のニーズに対応しているからです。彼らは他の事業を育て、地域内で循環する資金を提供する経済力を利用しているからなのです。」

　ベイツの側でも、財団とのパートナーシップの可能性にワクワクしている。彼女は言う。「このプロジェクトは開発とはかくあるべきと呼べるものよ。これは全ての人−すでにそこにいる人々も含めた−のための開発なの。ピッツバーグヤードにはフラッグシップ、先導役、ひな形になってほしい。全ての人が失うことなく開発が可能だということを証明して。」

　新たなスペースでは、マーディーズはベンダーの数を大幅に増やすことができるようになるだろう（現在の12名程度から30名以上に）。というのは、ピッツバーグヤードには屋内外のカフェスペースを備え、標準的な時間に営業される小売スペースがあり、露出や販売の機会が増えるからだ。「つまり、倍のインパクトがあるんだ」ディーズは語る。

　スミスが知る限り、ピッツバーグヤードのアプローチはアトランタだけでなく、国内全体からみても唯一無二のものだ。だが、彼女はこのアプローチは他の都市や近隣でも使える、そして今後使われるモデルだと信じている。彼女は言う。「人間中心の、ミッションに結び付いたデザインの価値を示す機会だと思っているわ」このアプローチはアトランタのようなジェントリフィケーションが起こっているブーム都市だけでなく、停滞し、投資が起こっていない−そしてそれは、新型コロナウィルスの大流行により際立ち、かつ非常に状況が悪化している−ラストベルト都市のような場所においても助けになるだろう。

　地域コミュニティの開発において、彼らに発言権を与えることは倫理的であるだけでなく、ビジネスの方法としても賢明だとスミスは語る。例えば、もし住民が手頃な価格で買い物ができる食料雑貨店が必要だと言うなら、ディベロッパーはそれを造ることですぐに財政的優位―固有の、地域に根差した、忠誠心のある顧客基盤を得ることができる。マーディーズのように、すでにファンがついている強い地域ブランドはまた、地域外にいるが地域の価値を反映している人たちの目標となるように行動する。地域住民を優先するアフォーダブルオフィスや小売スペース（起業間もない音楽プロデューサー、アイスクリーム屋のための出荷コンテナ屋台）と組み合わせることで、開発は投資家が価値あると判断する事業になるのだ。


2021/06/30(水)
喫茶店三都ものがたり


昨夜は学芸出版社でがくげいラボ×Talkin'About。
「喫茶店三都ものがたり」と題して、
「京都喫茶店クロニクル」の著者・田中慶一さんに
色々とお話をうかがいました。

20年前に田中さんたちが発行していた
「マリー：マドレーヌ」という、珈琲とフランスを
テーマにした冊子の話、その後田中さんが始めた
フリーペーパー「甘苦一滴」での丸福珈琲店の話、
日本の喫茶店・カフェの150年の大まかな流れ、
老舗の喫茶店は誰がお客さんとして支えてきたのか、
男性客と女性客/喫茶店とカフェ、京都・大阪・こうべの譲り店の話、
喫茶店と経済、そして今後喫茶店文化はどう継承されるか、
など、マニアックな方向も含めて展開しました。

譲り店については、また改めて書いてみたいと思います。

左写真は北天下茶屋にある「珈琲屋ナカノ」にある
丸福珈琲店の系譜を継ぐコーヒー抽出器具。

右写真はアムステルダム・スキポール空港にある
カフェ“HET PALEIS”。
ここは1929年に焼失した“Paleis voor Volksvlijt
（Palace of Culture and Art）”という
アムステルダムの文化と娯楽の殿堂のような場所を
2004年に空港の中に復活させたものだそうです。
https://www.tripadvisor.co.nz/ShowUserReviews-g1840814-d3931361-r252087396-Grand_Cafe_Het_Paleis-Schiphol_Haarlemmermeer_North_Holland_Province.html


2021/06/29(火)
ケイトラ・ベイツたちの挑戦（３）


bon appetit 2021.2.22記事
「ジェントリフィケーションが進むアトランタで、生き残りと繁栄をかけて黒人経営のフードビジネスが連携」ヒラリー・カディガン（その３）
https://www.bonappetit.com/story/keitra-bates-marddys-atlanta

　マーディーズの外壁には「Occasional Superstar」の名前で知られるアトランタのアーティスト、ファビアン・ウィリアムスの壁画が描かれている。若く、大きく目を見開いたベイツの息子とファビアンの娘を取り囲むように、秘密を伝えるように手を口の周りに丸くして、蛍光色のピンク、緑、青を渦巻くように肌を塗られた年配者たちの絵が描かれている。ベイツは語る。「年配者たちは彼らの祖先よ。私たちの使命は確実に永遠に続く場所を保つことなの。近隣がどんなに変わっていっても、存在するために許可を請う必要のない場所を。」

　この建物は1949年にレイラ・ウィリアムスいう女性によって建てられ、当時のアトランタでは数少なかった黒人が所有するフルサービスのレストランになった。湯気を立てているフライドチキンや野菜料理を提供していた「レイラズ・ダイネット」には、地域の人々だけでなくジョン・ルイスやスパイク・リーなどの象徴的人物も訪れていた。その後そこはフライドフィッシュ店に、そしてコンビニエンスストアになった。ベイツは語る。「私が知る限り、この場所は常に黒人が所有していたわ。この場所には強い力があるの。感じるでしょう。」

　改装された建物の内装は明るく、居心地の良い雰囲気だ。クリーム色の壁、ヤシの木の植木鉢、古い写真が並べられたブロンド色の木棚。店内中央にはウィリアムスの時のランチカウンターが残され、彼女の名付け娘、シャルロット・リレイ・ウェッブから贈られた絵が壁に架けられている。今月に亡くなるまで、ウィリアムスは町の向こう側の介護施設で暮らしていた。11月に、ベイツは彼女の108歳の誕生日のお祝いでウィリアムス一家と一緒に過ごした。　

　料理人たちがマーディーズのプログラムを受け入れ、食品衛生の資格のための研修を受講すると（ベイツは割引価格で認定が取得できるよう取り計らっている）、彼らはキッチンなどの設備を1時間15ドルと、他のシェアキッチンスペースの平均的使用料の約半額で使えるようになる。この認定は、彼らの自家製の事業が商業的に合法化していくための重要なステップであり、それを得ることで彼らはより大きなケータリングの仕事やより公式の場で自分たちの料理を販売することができるようになるのだ。

　ルイス・ディーズにとって、これらの実用性は重要な要素ではあったが、最終的に彼がマーディーズに惹きつけられたのは、ベイツの大胆な使命感だった。彼の会社、ディーズ・ナッツは、彼の祖父が自宅の裏庭でピーカンの実を箱詰めにして、家族に贈っていたことに着想を得ている。マーディーズは彼が探していた手頃な価格のキッチンスペースよりもはるかに多くを提供した。彼は言う。「マーディーズは飲食業の起業家のために特化したインキュベーターだけど、それは金銭面だけじゃないんだ。ケイトラは彼女自身がそうしてきたのと同様の方法で、自分たちが暮らしてきた地域を取り戻せるように力を与えているんだ。」
　だからこそ、ディーズがその事業をキャンディローストナッツ（レッドベルベットピーカン！シナモンシュガーカシューナッツ！）からコーヒーやナッツミルクへと拡げていくにつれて、彼もまた前進の成果の一部を慈善事業に寄付するようになるのだ。

　その後、マーディーズは（コロナ禍のために）再三運営を妨げられているが、巨大なホバート社製のミキサーとピカピカの６口コンロを備えたこのキッチンは、家賃の高騰や追い出しの心配なくディーズがナッツを焼くことができ、パートナーである「RAVARRE+CO」のクリス・ラバールとメーガン・レイが少量のハーブをブレンドすることができる　そこは「V’s Taste of 700 Islands」のバハマ人のケータリング事業者、ベラ・ブラウンが祖母の有名なココナッツ・パイナップルタルトを冷凍食品として開発することができる場所であり、料理人デスモンド・ミラーが自らのビーガンチーズソースを食料雑貨店の棚に展開するビジネスプランを思いつく場所なのだ。

　ディーズは語る。「モアハウス大学では、私は現状改革主義に深く関わっていたが、あまりにも多くの英雄たちが貧困のうちに亡くなり、また身持ちを崩していった。ケイトラは影響力を持つことと、安定して成功を収めることの二者択一の必要がないことを示してくれた。」

　アトランタは長らく黒人のリーダーシップと現状改革主義の歴史を持ち、文化的生産活動においてその名を全国的に轟かせており、直近で自慢できるのは大統領選におけるジョージア州での民主党勝利だ。だがオークランドやワシントンDCなどの他の都市では、思慮に欠ける開発の結果、黒人優勢の状況は崩れてきているとイエンガーは指摘している。黒人のメッカと呼ばれるここアトランタでも、黒人住民は郊外や都市の外に完全に追いやられている。ウェストエンドはこの不確実性を直接経験している歴史的に重要な黒人の近隣の一つの例に過ぎない。

　実際、アトランタの他のエリアでは、旧４区−マーティン・ルーサー・キングJrの生誕地−のように、不可避のプロセスと思える状況がさらに進んでいる。そこではジェントリフィケーションが1980年代に始まったが、ストーリーは同じだった。新たな開発が不動産税の高騰を招き、あっという間に歴史的な黒人地域での追い出しを招いた。今では黒人は近隣の人口の半分以下となっている。裕福なジェントリファイアーに訴求する一見華やかな飲食店が標準的なものとなっていくなら、ベイツやウィリアムスやイエンガー達が恐れている運命はアトランタのより多くの近隣で起こり得るだろう。


上の写真は、マーディーズの外観。
下は店内の様子です。ケイトラ・ベイツ（右）と
ベンダーの女性、サポーターのティムとの打ち合わせ風景です。


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