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2019/07/21(月)

大和田のイスラムコミュニティ

昨日のWalkin'Aboutには、７名の方が参加。
淀川の河川敷で景色を楽しんだり、食事をしたり、
大野川跡の遊歩道に行ったり、ハラール食材を買ったり、
神社でだんじりの練習風景を見たり、一日一便のバスに
遭遇し、そのバスに乗ってみたりと、
みなさん思い思いの軌跡を描いておられました。

西淀川区の大和田には、大阪マスジドという
イスラム教徒の礼拝堂があります。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190207-00010000-mbsnews-l27&p=1

開堂は2001年。2010年に鉄筋４階建ての
専門学校の校舎を購入して、現在地に移りました。
礼拝堂は２階にあり、１階はハラール食材店になっています。
周りにもハラールのレストランや食材店が何店舗かできています。

この食材店に入り、ザクロの缶ジュースを買いました。
お店には髭を長く伸ばし、小さな丸い帽子をかぶった
イスラム教徒の店員が５人ほどおられましたが、
驚いたことに、彼らは日本語で会話をしていました。

“明日区役所に書類を出しに行くのに、印鑑がない”、
“ふだん使わないからなあ”“どこに置いたか思い出せないのか？”
そんな会話に耳を傾けつつ、ジュースを買い、
外で飲んでみると、とても美味しかったので、
お店に入り直してもう１本買おうとすると、
店員は流暢な日本語で“お代わりやね”と。

上のサイトにありますが、この礼拝堂を立ち上げた
パキスタンのイスラム教徒たちは、中古車の輸出や
貿易に携わる仕事をしていたようです。
なるほど、だから日本語がこんなに堪能なのかと。

外国人の常連さんが、他の店員と話していました。

“ほら、中国が南沙諸島にミサイルを６発撃ち込んだろ。
　（中国のウイグル弾圧を非難している）トルコが次にどう出るかやな。”

この場所からは、また世界の様相は違って見えているようでした。

2019/07/20(土)

「道案内」演劇ワークショプ

facebookにトンネル横丁の写真を載せたことをきっかけに
極東退屈道場の林慎一郎さんと、The Blend Innで働く
藤原皓平さんと西九条で飲む機会が生まれました。

林さんは、１１月にenocoで「ジャンクション」という
江之子島をテーマにした演劇作品を上演されるそうです。
そして8/3(土)には、自分が見た風景をセリフにする
「道案内」演劇のワークショプを開催されるそうです。
https://taikutsu.wixsite.com/junction?fbclid=IwAR3ELoJMsRsqGuUM6c9zB9otlLoUS8pzy0dnt3nt3-P1etjnw9ZHdvtZSE0

ちょうど空いていたので、参加してきます。
まちと演劇は、どういう形で関わることができるのか、
その可能性の拡がりを感じてみようかと。

今日はこれからWalkin'About＠姫島です。
午後４時に阪神姫島駅改札でお会いしましょう。

2019/07/19(金)

歩いて読みとく地域経済

8/23(金)夜に、東京駅近くにあるTIP*Sで、
「歩いて読みとく地域経済」というお話を
させていただくことになりました。
https://www.facebook.com/events/2587436607934155/?active_tab=about

「歩いて読みとく地域デザイン」の中から、
経済にまつわるお話をピックアップしてお話しします。
京都・木屋町のコンビニ「コスモス」のことなどを
熱く語っているはずです。
東京方面で興味あるという方がおられましたら、ぜひ！

　近年、まちあるきがブームになっています。

　まちなかにある名所旧跡を訪ね歩いたり、カフェ・レストラン・雑貨店などを巡ったり、歩きながらまちの成り立ちを探ったりと、そのスタイルも多様化してきています。

　そんな中で、昨年「場づくり」をテーマにお話しいただいた山納　洋さんは、5年前から「Walkin’About」という、参加者のみなさんが90分間自由にまちを巡り歩き、その後に集まってそれぞれの見聞をシェアするという、一風変わったスタイルのまちあるきを実践しています。そして、今年6月には「歩いて読みとく地域デザイン」（学芸出版社）という本を出されました。この本の中で、山納さんは「まちのここを見れば、こういうことが分かる」という数々のポイントを紹介しています。

　地域をフィールドに事業や活動をしている・したい方はもちろん、まちあるきが好きな方、ご自身で歩きながらまちの歴史を感じたい方など、このテーマに関心のある方、ぜひご参加ください。

詳細・お申込みは
https://tips.smrj.go.jp/events/20190823chiikikeizai/
（必ず上記URLホームページよりお申込みください。お申込みがない場合、ご参加をお断りすることになりますので予めご了承ください。）

2019/07/19(金)

はなうた食堂さんの卒業

はなうた食堂の伊藤さんが、17日のランチ営業をもって、
コモンカフェの昼営業を卒業されました。
今後は池田市室町の「はなうた食堂調理室」という
教室スペースを中心に活動を続けられます。
http://hanauta-asia.net/

その後、水曜昼の店主は決まっておらず、
しばらくは水曜のランチ営業はお休みとなります。

なので、新しい店主の方と出会うまでの間は、
教室・イベントなど、お店の可能性を拡げられる使い方を
探っていきたいと思っています。
http://talkin-about.com/?page_id=4260

2019/07/15(月)

西淀川区の下見

今日は天気が持ちそうだったので、Walkin'Aboutの下見に。
JR塚本駅のレンタサイクルで自転車を借り、
姫島、福、出来島、御幣島と回ってきました。

西淀川区。それほど注目されてはいませんが、
地図をよく見ると分かるように、
新淀川と神崎川に挟まれたこのエリアには
かなりいろんな要素が詰まっています。
興味ありましたら、どうぞご参加ください。

自分が行きたい場所を訪ねるまちあるき
「Walkin’About @姫島」

開催日：2019年7月20日（土）
集合時間・場所　16:00　＠阪神姫島駅改札口　
再集合時間・場所　18:00　＠同上　　参加無料　

　大阪市西淀川区は、淀川が運ぶ土砂が堆積して土地が形成されています。古代は難波八十島とも呼ばれ、多くの島に分かれていました。古代には現区域付近一帯は住吉大社の領地だったといわれており、区内の神社の多くは海上の守護神である住吉大社を勧請しています。中世までは漁業を主としていましたが、江戸時代以降は新田開発がおこなわれ、漁業とともに農業がおこなわれるようになりました。

　地域に工場が進出したのは、明治後期以降のことです。水運の発達や鉄道・道路・橋梁などの急速な整備に伴い、紡績・機械・金属・鉄鋼・化学といった近代工業が集中し、昭和初期（1930年代頃）から重工業地帯となりました。しかしながら、これらの工業地帯は大気汚染の発生源ともなり、1950年代以降は公害が深刻な社会問題となっています。1970年代以降には大工場の撤退が相次ぎましたが、梅田へのアクセスの良さから近年マンション建設が進み、住宅地としての整備も進んでいます。人口はここ数年増加傾向にあります。

　西淀川区はまた、南米出身の日系人人口が最も多い区として知られています。大阪市内に住むブラジル人のうち約２１%、ペルー人のうち約３５％（2016年時点）が西淀川区に居を構えています。

　今回は、そんな西淀川区を、姫島を中心に探っていきます。

“Walkin’About”は、参加者の方々に思い思いのコースをたどっていただく“まちあるき”です。
参加者の方々は、集合場所でエリアについての説明を受けたあと解散。約９０分後に再び集合いただき、それぞれの見聞や体験をシェアします。

【主催・お問い合わせ】
　大阪ガス㈱エネルギー・文化研究所　都市魅力研究室　担当：山納　
　Tel 06-6205-2366　http://www.toshimiryoku.jp

2019/07/13(土)

7/18(木)夜に喫茶営業を

さて、先週に引き続き、7/18(木)のカフェ実習後、
午後８時から１０時半頃まで、本棚の整理を兼ねて、
コモンカフェで喫茶営業をします。
http://talkin-about.com/

写真は先週末、六甲山カフェで頂いたかき氷。
六甲山カフェは現在、芦屋ロックガーデンの大谷茶屋で
月２回ほど週末営業を行っています。
https://www.facebook.com/rokkosancafe/

こちらでも、現在店主募集を行っています。
山の中でカフェをやってみたいという方がおられたら
訪ねてみてください。

2019/07/06(土)

common style

８日（月）のカフェ実習後、午後８時から１０時半頃まで本棚の整理を兼ねて、コモンカフェで夜カフェ営業をします。お時間とご興味がありましたら、覗いてみてください。

そして引きつづき、店主募集の告知を。「はなうた食堂」伊藤さんの卒業にともない、水曜昼にお店に入っていただける方を募集しております。営業時間は12:00～18:00。使用料は4,000円/日です。

＊コモンカフェは、日替わり店主制のカフェです。お店に入る人は毎日、また昼と夜でも入れ替わりますが、平日昼については店主を固定にしています。各店主は、それぞれの屋号を持ってお店に入っています。

取り組んでみたい、という方がおられましたら、info@talkin-about.com までご連絡ください。

どうぞよろしくお願いいたします。

2019/07/04(木)

重版出来！

６月に出版された「歩いて読みとく地域デザイン」（学芸出版社）の重版が決まりました。
お買いいただいたみなさま、ご尽力いただいたみなさま、ありがとうございました！
まだまだ頑張りたいと思います。
http://book.gakugei-pub.co.jp/mokuroku/book/ISBN978-4-7615-2707-5.htm

2019/07/01(火)

今日夕方のNHK「関西ラジオワイド」、ぶじ終了しました。
僕がお話しした内容は、こちらのtwitterサイトで端的に紹介いただいています。
https://twitter.com/nhk_kansairadio?lang=ja

2019/06/30(日)

地域プロデュース、はじめの一歩

昨年3月末に、河出書房新社より「地域プロデュース、はじめの一歩」という本を出していただきました。その後ボストンに渡ったり、本を書いたり、本を訳したり、旅を続けたりしている間に、この本について触れるタイミングを逸していました。改めてアップさせてください。
http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309248554/

この本では、小さなプロデュースを始めるための方法論と、僕自身の原点である扇町ミュージアムスクエア（ＯＭＳ）、僕が手がけてきたTalkin'About、Common Bar SINGLES、common cafe、六甲山カフェ、メビック扇町での様々な実験、co-designでの実践、デザインプロデュース向上委員会、朗読劇＆ラジオドラマシリーズ「イストワール」などについて紹介しています。

ボストンに行ってから１年近くは、研究者としての時間を過ごしてきましたが、本当は何かを研究するよりも、新たなものを創り出して世に問う方が性に合っています。日本に戻ったのを機に、新たな歩みを進めていきたいと思っています。

2019/06/29(土)

関西ラジオワイド

7/1(月)夕方5:05～5:55にNHKラジオ「関西ラジオワイド」に出ます。
Walkin'Aboutと「歩いて読みとく地域デザイン」
の話をしてきます。この日の放送は全国に流れるそうです。
https://www4.nhk.or.jp/P2855/

山納さんは、「Walkin’About」という街歩きイベントを続けています。街を自由に歩き、様々な“発見”をしようというものです。「なぜ安い居酒屋が多いのか」「なぜ石垣が多いのか」など街の小さな”謎“を、地元の人の話や史料から読み解くと、気づかなかった街の成り立ちや個性が見えてくるそうです。山納さんに街歩きの魅力を伺います。7月1日（月）の「旬の人・時の人」です。

2019/06/28(金)

アメリカにおけるジェントリフィケーション

さて、Talkin'Aboutについても
徐々に再開していこうと思っています。
7/2(火)には「マチ会議」を開催しますが（＊）、
7/29(月)にはアメリカの都市の状況について、
軽くご紹介をしようと思っています。

うめきたTalkin’About『アメリカにおけるジェントリフィケーション』

2019年7月29日（月）7pm～9pm
話題提供：山納　洋（大阪ガス（株）近畿圏部）
場所：大阪ガス㈱エネルギー・文化研究所　都市魅力研究室　参加無料

　ジェントリフィケーションとは、衰退したインナーシティに富裕層が移り住むことで不動産価格や賃料が高騰し、その結果長年地域で暮らしてきた人々が追い出される現象をいいます。日本ではまだそれほど認識されていませんが、今日では世界の多くの都市における問題となっています。

　今回のTalkin’Aboutでは、アメリカにおけるジェントリフィケーションの状況や議論の方向性についてご紹介し、なぜ今、ジェントリフィケーションは深刻化しているのか、日本でも今後起こる可能性はあるのか、どのように対処すればいいのかについて話し合います。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

　Talkin’Aboutは、あるテーマについて興味・関心を持った人たちが集い語り合う“サロン”です。思いある人が自由に集い、情報を交換し、ネットワークを広げ、そこから自然なかたちで新しいアイデアやコラボレーションが生まれていく、そんな場づくりを目指しています。

【会　場】
　大阪ガス㈱エネルギー・文化研究所　都市魅力研究室
　グランフロント大阪北館タワーC 713

　●JR大阪駅、地下鉄・阪急梅田駅より徒歩８分
　　北館１FよりタワーC入口に入り、奥にあるAエレベーターで
７階にお上がりください。

【主催・お問い合わせ】
　大阪ガス㈱エネルギー・文化研究所　都市魅力研究室　担当：山納　
　Tel 06-6205-2366　http://www.toshimiryoku.jp

（＊）「マチ会議」7/2(火)19:00～　参加無料
　　＠大阪ガス㈱エネルギー・文化研究所　都市魅力研究室　
　　参加者のみなさんに、どこかの街の話を持ち寄っていただきます。

2019/06/27(木)

Walkin’About @姫島

約１年ぶりに、Walkin'Aboutを再開します。

自分が行きたい場所を訪ねるまちあるき
「Walkin’About @姫島」

開催日：2019年7月20日（土）
集合時間・場所　16:00　＠阪神姫島駅改札口　
再集合時間・場所　18:00　＠同上　　参加無料　

　大阪市西淀川区は、淀川が運ぶ土砂が堆積して土地が形成されています。古代は難波八十島とも呼ばれ、多くの島に分かれていました。古代には現区域付近一帯は住吉大社の領地だったといわれており、区内の神社の多くは海上の守護神である住吉大社を勧請しています。中世までは漁業を主としていましたが、江戸時代以降は新田開発がおこなわれ、漁業とともに農業がおこなわれるようになりました。

　地域に工場が進出したのは、明治後期以降のことです。水運の発達や鉄道・道路・橋梁などの急速な整備に伴い、紡績・機械・金属・鉄鋼・化学といった近代工業が集中し、昭和初期（1930年代頃）から重工業地帯となりました。しかしながら、これらの工業地帯は大気汚染の発生源ともなり、1950年代以降は公害が深刻な社会問題となっています。1970年代以降には大工場の撤退が相次ぎましたが、梅田へのアクセスの良さから近年マンション建設が進み、住宅地としての整備も進んでいます。人口はここ数年増加傾向にあります。

　西淀川区はまた、南米出身の日系人人口が最も多い区として知られています。大阪市内に住むブラジル人のうち約２１%、ペルー人のうち約３５％（2016年時点）が西淀川区に居を構えています。

　今回は、そんな西淀川区を、姫島を中心に探っていきます。

“Walkin’About”は、参加者の方々に思い思いのコースをたどっていただく“まちあるき”です。
参加者の方々は、集合場所でエリアについての説明を受けたあと解散。約９０分後に再び集合いただき、それぞれの見聞や体験をシェアします。

【主催・お問い合わせ】
　大阪ガス㈱エネルギー・文化研究所　都市魅力研究室　担当：山納　
　Tel 06-6205-2366　http://www.toshimiryoku.jp

2019/06/24(月)

なぜ僕らは「フツー」のまちを歩くのか

8/10(土)に、『大阪「高低差」地形散歩』他の著者であり、ブラタモリの「大阪」「大坂城」の案内人をされている新之介さんと、隆祥館書店でトークをさせていただくことになりました。
http://book.gakugei-pub.co.jp/…/yamanoh-shinnosuke-machiar…/

山納洋 × 新之介　トークイベント
なぜ僕らは「フツー」のまちを歩くのか～まちの謎とドラマを読みとく「まちのリテラシー」の高め方～

◎開催日時：2019/08/10　14:00～16:00
◎会場：隆祥館書店8階　多目的ホ－ル（大阪市中央区安堂寺町1-3-4）

2019/06/22(土)

あとがきのあと

今日6/22(土)の日経新聞朝刊の書評欄に、
「歩いて読みとく地域デザイン」の著者紹介を
載せていただいています。フルバージョンには
アメリカ留学のことも書いていただいています。

2019/06/21(金)

コモンカフェの店主募集について

さて、本日はコモンカフェの店主募集について
お知らせいたします。

現在水曜昼にコモンカフェに入っている
「はなうた食堂」の伊藤さんが
池田市室町に「はなうた食堂調理室」という
教室スペースをオープンされています。
http://hanauta-asia.net/

伊藤さんは、今後はそちらの活動に専念していかれるのですが、
それに伴い、毎週水曜昼にお店に入っていただける方を募集いたします。
営業時間は12:00～18:00。使用料は4,000円/日です。

＊コモンカフェは、日替わり店主制のカフェです。
お店に入る人は毎日、また昼と夜でも入れ替わりますが、
平日昼については店主を固定にしています。
各店主は、それぞれの屋号を持ってお店に入っています。

ぜひ取り組んでみたい、という方がおられましたら、
info@talkin-about.com までご連絡ください。

どうぞよろしくお願いいたします。

＊また、僕がボストンに行っている間は、
新店主の受入れをストップしておりましたが、
　こちらも再開いたします。興味ありましたらご一報ください。

どうぞよろしくお願いいたします。

2019/06/18(火)

芝居を観るように、まちを観る

さて、少し落ち着きを取り戻しつあるこのタイミングで
改めて、今回出していただいた本を紹介させてください。

「歩いて読みとく地域デザイン　普通のまちの見方・活かし方」
https://honto.jp/netstore/pd-book_29623767.html

この本は、2014年に始めたまちあるき企画「Walkin'About」で
関西近郊のあちこちの街を巡り歩くうちに見えてきた、
一見何でもないまちを読み解くためのポイントをまとめたものです。

この本の中で僕は、「芝居を観るように、まちを観る」
というイメージをお伝えしています。

芝居（演劇）では、あるシチュエーションのもと、
登場人物が会話を交わします。そこがどんな場所なのか、
彼らは誰で、何をしている人なのかは、
幕が上がった時点では十分には示されていません。

物語が進んでいくうちに、登場人物の会話ややり取り、
舞台上で起こる事件などから、当初謎だったさまざまな
事柄がだんだんと明らかになっていきます。

芝居において、この謎をつかさどっているのは
脚本家であり、演出家です。

まちを歩いていると、芝居と同じように、
目の前にさまざまな謎が立ち現れます。
芝居と違うのは、ただ座っているだけで謎が解明される
ことはなく、こちらからまちに対して何らかの働きかけを
しないと、謎は謎のままで終わる、ということです。

まちには現在だけでなく、過去のさまざまな時代に作られた
建物や区画や構造物が複層的に残されています。
その背後には、さまざまな時代の作り手が、
それぞれの時代に凝らした意図が存在しています。

“まちの脚本家や演出家は、なぜこんな作品を作ったのだろう？”

その意図を読み解くために必要なリテラシィを、
この本では、200枚以上の写真と地図ともに紹介しています。

興味ありましたら、またぜひご覧ください。

2019/06/16(日)

奈良での朗読ワークショップ

今朝は奈良県立図書情報館へ。
今年３月から４回シリーズで続いてきた
イストワール朗読ワークショップの最終回を覗きました。

「イストワール」について、改めて。
これは、関西に実在した人物のドラマを製作し、
その人物ゆかりの場所で朗読劇として上演するという、
大阪ガス提供のドラマシリーズです。
2010年にスタートし、これまでに９作品を紹介してきました。

＊第７話までは、ラジオドラマも製作し、
　MBSラジオで放送いただいていました。
　こちらで今でも聴くことができます。
　https://www.mbs1179.com/podcast/

劇作家・俳優の小栗一紅さんには、
奈良の宿・日吉館の女将・田村きよのさんを描いた
「ちひさきもののうた」（第３話）と、
奈良を撮り続けた写真家・入江泰吉さんを描いた
「みつめればそこに」（第７話）を手掛けていただきましたが、
小栗さんは2017年から、これらの作品を題材にして、
奈良県立図書情報館で朗読ワークショップを継続されています。

その最終回が、今朝でした。
ギリギリ間に合って良かったです。

来年３月末には、これまでの参加者の中の希望者で
「ちひさきもののうた」を上演するのですが、
その稽古が、７月から始まります。

　地域に眠っている物語を掘り起こして作品化する。
　その後に、物語を地域で語り継いでいただく。

イストワールは、そういう構想のもとに始めた企画でした。
小栗さんはそれを見事に実現されています。

また今年１０月には、イストワール第１０話を上演します。
詳しくは追ってご紹介します。地域演劇の可能性について、
さらに探っていきたいと思っています。

2019/06/14(金)

大阪に戻っています

大阪に戻っています。今日からお仕事!
そして10日発売の「歩いて読みとく地域デザイン」をはじめて手にしました。

2019/06/11(Tue)

明日はもう帰国日

早いもので、明日はもう帰国日です。

調理器具や食材を人に譲ったり、
数少ない友人との別れを惜しんだり、
銀行口座を解約したり、大学に挨拶に行ったり、
部屋の大掃除をしたり、荷造りをしたりしている間に
日々は過ぎ、最後の夜も更けてきました。

昨年８月末から今まで、実質の滞在期間は８ヶ月余り。
ハーバードケネディスクールに学びに来たわけですが、
語学力の問題と、人に教わるよりも街から教わる方が
性に合っているのとで、ひとりWalkin'About三昧の日々を
結局は過ごしていました。ヨーロッパも含めると、
この間に２９都市を訪れていました。

日本に戻ると、僕は基本的にこれまでの仕事に戻ります。
海外の都市を研究する機会は、かなり少なくなるはずです。

なので、今知ったことはとりあえず誰かにパスしよう、
そういう勢いでレポートを書き続けてきました。
長すぎるなと思いつつでしたが、いくらかでも
誰かの役に立っていれば幸いです。

最後に、この１０ヶ月の間で一番心に焼き付いた、
ケンブリッジ市役所でのアフォーダブルハウジングの議論の
風景をふたたび紹介して、この街とのお別れとしたいと思います。

これまでお付き合いいただいたみなさま、ありがとうございました！

そして１４日（金）からは大阪にいるはずです。
引き続き、よろしくお願いいたします。

2019/06/11(Tue)

アトランタ再訪（４）

昨年１２月にこの日記で、マサチューセッツ州にできた
カナビス（マリファナ）を販売するショップに行ってきた、
というレポートを書いていました。

アトランタがあるジョージア州では、今のところ、
医療用に限って、またTHCという種類に限って
使用が合法化されている段階ですが、
西海岸やマサチューセッツ州などでは娯楽用も合法化されています。

そして起業家の間では、カナビスを栽培・製造する事業に
乗り出そう、と考えている人たちがいます。
数百億ドルを生み出す新たな産業として注目されているのです。

アトランタの黒人起業家たちも、この事業に注目しています。
ただその意図は、単に「儲かるから」というのとは違います。

「グラス・イズ・グリーナー」というドキュメンタリーが
現在ネットフリックスで配信されています。
https://fnmnl.tv/2019/04/25/72398

この記事（日本語）を読んでいただくと分かりますが、
マリファナは、60年代の公民権運動の結果、人種差別が
法律で禁じられるようになって以降、他の有害な薬物と
混同され、政策的に非合法化されています。
そしてその所持で逮捕・投獄される人の数は、白人に比べ
不釣り合いにマイノリティの人々が多くなっています。
いったん犯罪歴がつくと、まともな仕事には就けなくなり、
犯罪を３回以上重ねると、最低10年、悪くすると一生を
刑務所の中で過ごすことになります。

そしてここにきて、合法化・産業化の動きが進んでいます。
本当に有害で危険なものなら、合法化などできるはずがない。
そしてこの事業で一儲けしようとしている白人たちがいる一方、
少量の所持で何年も刑務所で過ごしている多くの黒人がいる。

彼らのこの事業に対する思いは
「これ以上してやられてなるものか！」という
強い怒りに支えられています。
ことほどさように、アメリカ社会の人種の問題は複雑です。

この話、書くのはどうしようかと思っていたのですが、
日本にはほとんど伝わっていない話なので
ここに残しておこうと思います。

今回のアトランタは、天気が悪かったこともあり、
街をかけずり回るというよりは、こんな感じで、
起業家たちからいろんな話を聞きながら過ごしていました。

ケイトラは現在、大きな開発の話に関わっています。
残念ながらこのタイミングではオープンにできませんが、
うまく進むことを、日本に戻ってから応援しようと思います（おわり）。

2019/06/10(Mon)

アトランタ再訪（３）

アメリカ南部には「南部料理（Souuthern Cuisine）」というソウルフードがあります。
https://amview.japan.usembassy.gov/celebrating-american-soul-food/

奴隷制の時代に、黒人女性たちが配給された食料と
自分たちで手に入れることができた食材で作り出したもので、
奴隷解放後には他のさまざまな食材や調理法とミックスされ、
それぞれの家庭の味として次の世代に受け継がれてきました。

今回のアトランタでは、ベイツ家で過ごす時間が
長かったのですが、そこにやって来た女性の一人が、
「ところで、南部料理はもう食べたの？」と。
僕が「それを知らない」と言ったことから、翌日昼に、
みんなで「Simon’s」に繰り出すことになりました。
https://simonsatl.com/

コーンブレッド、チキンオムレツ、フライドチキン、
フライドキャットフィッシュ（なまずフライ）など、
アメイジングな料理を楽しむことができました。
ケイトラはベジタリアンなので、その女性がいなかったら、
これらの料理を体験をすることはありませんでした。縁ですね。

ところで、このお店に行く前にWalkin'Aboutしていると
「Mary Mac’s Tea Room」という、「Simon’s」以上に
歴史のありそうなレストランに出会いました。
https://www.marymacs.com/

ここでお茶でも、と思ったのですが、朝11時の開店と同時に
予約のお客さんが何十組も現れたのであきらめました。
その話をみんなにすると、「あそこも南部料理だけどね…」と。
つまりは経営者が白人なのだそうです。

奴隷時代に黒人女性たちが生み出し、代々守り伝えてきた
レシピが「southern cuisine」で、それを白人に盗られた、
という思いを彼女たちは持っています。
ケンタッキーフライドチキンも、カーネル・サンダースは
南部のレシピがあったからこそ開発できたのだと。

ついでながら、そこで聞いたジャック・ダニエルの話が
面白かったので、軽く紹介を。

これは2017年8月のニューヨークタイムズの記事です。
https://www.nytimes.com/2017/08/15/dining/jack-daniels-whiskey-slave-nearest-green.html

黒人の不動産投資家で作家のフォーン・ウィーバーは、
2016年夏に休暇でシンガポールに行った時に、
ジャック・ダニエルにウィスキーの作り方を教えた、
ニアレスト・グリーンという黒人奴隷の話を
ニューヨークタイムズのこの記事で知りました。
https://www.nytimes.com/2016/06/26/dining/jack-daniels-whiskey-nearis-green-slave.html?_r=0&module=inline

記事を読んだフォーンは、ジャック・ダニエル社がある
テネシー州リンチバーグへと向かいます。
訪問するだけではグリーンの足跡にたどり着けなかった彼女は
その町に家を借り、グリーンの子孫たちを訪ね、
ダニエルとグリーンに関する１万点以上もの資料を集め、
グリーンがアメリカで初めてウィスキー蒸留を
マスターした黒人だと確信するようになります。

彼女は現在、そのことを本にまとめています。
そして同時に、ダニエルとグリーンが
最初に蒸留をおこなった農場を突き止め、
記念公園を作るためにそこを購入し、それだけでなく、
「アンクル・ニアレスト1856」と名付けたウィスキーを
ジャック・ダニエル社とは別の醸造会社から発売すると
発表しています。

そして彼女は最終的に、ジャック・ダニエル社の
経営者、ブラウン・フォーマンに、グリーンが同社で
最初に蒸留を行った人物だと認めさせています。
同社は見学者への案内の内容を一新し、
グリーンについての物語を付け加えたそうです。

ニアレスト・グリーンの業績もすごいですが、
その物語を追い続け、本も書いてビジネスも立ち上げる
フォーン・ウィーバーの執念にも驚きます。

「自分たちの文化の果実を、自分たちに取り戻す」
南部の黒人起業家たちは、そういうマインドを持っています。

写真は「Simon's」のフライドチキンとコーンブレッド。

2019/06/09(Suｎ)

アトランタ再訪（１）

ということで、６日にアトランタへ。
ケイトラから、「明日の朝７時から、地域の企業家たちが
集まるイベントがあって、Marddy'sも参加するの。
あなたもぜひ来て！」と言われ、足を運びました。

そこで行われていたのは「Transform Westside Summit」という、
アトランタのウエストサイド地区の再活性化に取り組む
非営利団体「Westend Future Fund」が主催するピッチでした。
https://www.westsidefuturefund.org/

そしてマーディーズでは、ドーナツを作っている
ベンダーの女性が、参加者の人たちが自由に手に取れる
ドーナツを提供していたのでした。

ケイトラは2017年にMarddy’sを開業する２年ほど前から、
地域再生に取り組む社会企業家やそれを支える財団の人たちと
関わって来たそうです。
趣旨に賛同して協働してくれる人たちや、
新たなチャンスを提供してくれる人たちと
いい出会いを続けてきたことで、様々なサポートを得て
開業に漕ぎつけています。

また、お店が黒人の近隣地区にあり、白人には足を運んでもらいにくく、
商売が天候に左右されることもあり、確実に売上の見込める
ケータリングの機会を大事にしているそうです。

＊あらためて、ケイトラ・ベイツが営んでいる
　シェアドキッチン「Marddy's」についての記事を。
　https://www.atlantamagazine.com/dining-news/marddys-shared-kitchen-mission-against-westside-gentrification/

2019/06/09(Sun)

アトランタ再訪（２）

アトランタには、ハーマン・ラッセルという黒人の企業家がいました。
父親に左官の仕事を教わって１２歳の時には仕事を始め、
１６歳の時に土地を買ってそこに建物を建て、
それを貸すことで大学の授業料を稼いでいます。
卒業後には父親の左官業を継ぎ、その会社を
不動産の開発・建設・管理・経営などを手掛ける
アメリカ有数の不動産会社に成長させています。
https://georgiahistory.com/about-ghs/the-georgia-trustees/herman-j-russell/

彼が事業を始めた頃にはジム・クロウ法といって、
黒人は白人と同じ学校や病院、交通機関、レストランを、
使えないといった人種差別的内容を含む法律が
南部諸州にはあり、黒人に土地を売ってくれる人は
少なかったそうです。そんな状況を乗り越えて
商売を大きくし、一方で財団を設立して、
地域の若者たちやコミュニティの自立に貢献しています。

彼は５年前に８３歳で亡くなられました。
今は子どもたちが事業を継ぎ、地域において大きな役割を
果たし続けているようです。

大学地区とダウンタウンの間にあるキャッスルベリー・ヒル。
かつては倉庫街でしたが、最近はギャラリーやレストラン、
カフェが出来てきて、お洒落な感じになっています。
ハーマン・ラッセルはこの近隣に多くの不動産を保有し、
引退してからも地域の活性化に取り組んできたそうです。

アトランタでは他の都市に比べて、黒人の中流階級が多く、
人種の統合がより進んでいるように感じていたのですが、
その背景には、こうした大立者の存在があったようです。

そしてサクセス・ストーリーを体現した人物の存在が、
「やればできる！」という前向きな思いを、
地域活性化に現在取り組んでいる人たちに与えている。
そう感じました。

写真は前回撮った、キャッスルベリー・ヒルの風景。

2019/06/09(Sun)

Walkin'About@Harlem, NY（４）

今回ハーレムで泊ったのは、アポロシアターから徒歩５分の
１２５番通り沿いのアパートにあるAirbnbで、
ロケーションが非常に良くて重宝しました。
部屋のすぐ裏にはスタジオがあり、ピアノとヴォーカルが
夜中まで練習していて、美しい歌声が聴こえていました。

２日目の夜には、アポロシアターへ。
毎週水曜夜に開催されているアマチュアナイトを観ました。
ステージ上では、アマチュアが歌やパフォーマンスの技術を競います。
日本ののど自慢や歌マネ番組のような感じですが、
劇場に足を運んでもらうコンテンツとして成立していて、
もう８５年も続いているそうです。
https://www.apollotheater.org/amateur-night/an-history-legacy/

アーティストが住み、技術を磨き、チャンスを掴める街。
ハーレムは今も、その伝統を守っているようでした。

そして６日から８日まではアトランタへ。
４月に初めて会ったシェアドキッチン「Marddy’s」の
ケイトラ・ベイツを再び訪ねてきました。

2019/06/08(Sat)

Walkin'About@Harlem, NY（３）

ハーレムの東部と西部には、大規模な公営住宅群（プロジェクト）があります。
こうした住宅に住むのは低所得層で、ジェントリフィケーションが進み、
中流階級でも暮らしていくのが難しいマンハッタンにあって、
特別なアジールを形成しています。
こうした高層公営住宅はニューヨーク市以外ではほとんど
60年代、70年代に犯罪の多発や器物損壊などによって
多くの住民が出て行き、その後取り壊されていますが
ニューヨークには残されています。

またニューヨーク市は、Rent Control（家賃が一定額以上に上がらない住宅）や
Rent Stabilization（一定の割合以上に家賃を上げられない住宅）
といった制度を持っていて、取り壊して再開発されない限りは
権利を持った住民は比較的安い家賃で住み続けることができています。
https://streeteasy.com/guides/renters-guide/what-is-the-difference-between-rent-controlled-and-rent-stabilized-apartments/

2012年にニューヨーク市長となったビル・デブラシオは、
20万戸の福祉住宅の建設、年収50万ドル以上の富裕層への増税
といったリベラルな政策を掲げて、億万長者で
開発誘導型の政策を取り続けた現職のブルームバーグを破っています。
ちなみにデブラシオ氏は左翼活動家出身で、
父はドイツ系、母はイタリア系。夫人はアフリカ系という
多様な民族構成を背景に持っています。

デブラシオ市長は当選後、ブルームバーグ型の開発促進策を
継承しつつ、そこで得られた税収増加を使って、
公営住宅のメンテナンスを行ったり、リ・ゾーニングの
インセンティブを与えたディベロッパーに対して
20パーセントのアフォーダブル住宅をその中に作ることを
義務づけたりしています。

つまり、開発を一方で認めながら、貧しい人たちや、
人種的な差別を受ける可能性のある人たちを支える、
そういう政策を取っているのです。

写真は公営住宅群と、「現在と将来の住民のために」
約1400万ドルをかけて改装していると書かれた看板です。

2019/06/07(Fri)

Walkin'About@Harlem, NY（２）

メインストリートである１２５番通りから少し南の
１１６番通りには、個人商店が数多く残されています。
東の方は1950年代以降にプエルトリコ移民の街になりましたが、
1990年代以降にメキシコからの移民が増えていて、
仕事やお客を取り合っているという話ですが、
店や街を眺めていると、ともによく働く人たちだなと感心します。

そんなイーストハーレムでも、開発は起こっています。
2008年にかつての針金工場跡が、ターゲット（高品質＆低価格スーパー）と
コストコをキーテナントとする複合商業施設として開発され、
ヒスパニックの人たちが大きなカートを押しながら
買い物する風景が日常のものになりました。
周辺の居住利便性は上がっていて、新たな住宅開発も進んでいくのでしょう。

こういう動きが、徐々に、徐々に、起こっています。

2019/06/06(Thu)

Walkin'About@Harlem, NY（１）

1993年春、大学卒業直前にニューヨークに行った時に、
ハーレムのアポロシアターの周辺はとても危険で、
周囲をウロウロしないようにと「地球の歩き方」に
書かれていました。

そのアポロシアターがある１２５番通りに宿を取り、
４日、５日の２日間、ハーレムをウロウロしてきました。

この通りは、かつてはアイルランド人、ドイツ人、
ユダヤ人、イタリア人、そして1920年代頃からは、
アフリカ系アメリカ人のショッピングと娯楽、
そしてアート、文学、音楽、ダンスなどの
文化の中心地となっていました。

1930年代になると、地域はレッドライニングのために
投資がなされなくなり、1950年代にはロバート・モーゼスの
スラムクリアランスによって住まいを失った人たちが
ここに流れ着くようになりました。地域はスラム化し、
犯罪が多発したことで、危険なエリアと見なされてきました。

ですが1990年代になると、開発の波が押し寄せます。
低利の融資や投資減税などにより、連邦政府・州・市が
何億ドルもの資金を投下し、チェーンショップが誘致され、
一方で通りにひしめいていた屋台が強制的に撤去されました。
2000年代にはリ・ゾーニングによって高層建築物が
建てられるようになっています。
つまりはジェントリフィケーションが進んでいるのです。

実際に行ってみると写真のような感じで、
アポロシアターの周りにはチェーン店と高層ビルが見えます。
そして通りにいる人たちの人種は多様化しています。
物乞いの人たちもいますが、それほど危険な感じではありません。

屋台は昔ほどの数ではないですが、お香やボディオイル、
黒人音楽のDVD、アフリカの民族衣装などを売るお店が出ていて、
通りには演奏したり踊ったりしている人もいます。

バルセロナやナポリで見てきたような
観光客向けの偽ブランド売りの人たちと比べると、
同じ文化を共有している人たちが集っているからこその
アットホーム感が伝わってきました。

2019/06/05(Wed)

ニューオリンズへ（４）

それでは最後に、楽しすぎたニューオリンズの夜の風景など。

2019/06/05(Wed)

ニューオリンズへ（３）

セントラルシティの南側には、
現在アイリッシュ・チャネルとかロワーガーデン地区と
呼ばれている近隣地区があります。
もともとセントトーマスと呼ばれていた地区で、
同名の公営住宅プロジェクトがここにはありました。
2000年代初めに徐々に取り壊しが始まっていましたが、
カトリーナ以降にこの動きが一気に加速しました。

ここに住んでいた何千人もの低所得世帯は追い出され、
代わりにここに建ったのは、民間ディベロッパーによる
コンドミニアムや、所得層の違う世帯が住む住宅でした。
そして住宅価格や家賃は、以前の倍以上になっています。
つまり、被災からの復興でジェントリフィケーションが
人為的に起こされていたのです。

ニューオーリンズ市は、カトリーナ禍によって、
25万4千人の人口を一時期に失いました。
その後白人人口は被災前レベルに回復しましたが、
黒人人口は10万人が失われたままになっています。
これが当初お話した、人口動態の変化の原因です。

写真左は、ロワーガーデン地区の集合住宅。
白人女性が犬の散歩をしているのが見えます。
写真右は、バイウォーターという、被害をあまり受けず、
可愛らしい住宅が多く残されている地区で、
犬の散歩をしている白人女性です。
彼女たちがそこに来たことと、ニューオリンズに戻れない人たちが
大勢いるということは、災害を奇貨として、
一気に都市の更新を図った政策にまつわる問題で、
彼女たちが悪いわけではありません、きっと。

でも、なんだか釈然としない話ですね。
日本ではあまり知られていないと思いますので、
あえて紹介しておこうと思います。

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