2005/06/23(木)
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月の裏側
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お店をやっている人にはよく知られた話ですが ある種の情報誌にお店が取り上げられると 2週間だけその雑誌を持ったお客さんがやって来て 2週間でピタっと止まる、という現象が起こります。
その情報誌を片手にお店にやって来たお客さんが いったい何の話をしているのかと耳を傾けると 次にどこのお店に行くかを話し合いながら 食事をしておられた、ということがあります。
先日、20歳ぐらいの若者12人に 「雑誌で紹介されているお店に行ったことは?」 と質問をする機会がありました。 行ったことがある、という人は2人だけで あとの人は、たまたま見つけたお店や 友達に紹介してもらったお店に行く、と。
中崎町のお店のオーナーと話していると 一時期よく取材を受けたけれど、一巡すると すっかり取材を受けることがなくなった という話をよく耳にします。
常套句な語り口で一時的な一見客を生み出し つねに新しいお店や風俗を追いかけて去っていく情報誌。 その取材を受けるという決断は 一見客を受け入れるという決断でもあります。
お店が5年、10年と続いていくために必要なのは つねに一見客がやって来る環境か、もしくは お店を支えてくれる常連客か、そのいずれかです。
お店をずっと続けていくために 情報誌の取材を受けるのが得策か否か。 実際にお店を経営しているオーナーは こういう判断をしています。
ここ3ヶ月ほど、陽は当たらないけれども 続いているお店のことを時々書いてきました。 必ずしも紹介されることを望んでいるわけではない こうしたお店のありかたには、実は「お店とは何か?」を 考えるためのヒントがちりばめられています。
こうしたフィールドワークを続けて、その成果を ゆくゆく一冊の本にまとめたい、と今考えています。
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